自己破産で奨学金の支払いはなくなる?その実際とリスクも紹介!

  • 「奨学金の返済が厳しくなったので、なんとかしたい」
  • 「奨学金は自己破産すれば支払わなくて済むの?」
  • 「奨学金の支払いをなんとかしたいけど、親や親族を頼ることができない」
  • 「毎月の支払いが厳しく、奨学金が特に家計を圧迫している」
  • 「保証人に迷惑をかけずに、自己破産の支払をなんとかしたい」

奨学金を借りて大学・大学院等に進学した方もいらっしゃるでしょう。

返済困難な奨学金の借り入れや、家計を考えずにお金を使いすぎてしまった
学校を卒業後に就職ができなかった、失業してしまった

などの理由で奨学金の支払いが難しくなったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

奨学金の支払不能を理由に自己破産する、いわゆる「奨学金破産」ですが、そもそも自己破産をすると奨学金の支払義務はなくなるのでしょうか。

ここでは、奨学金と自己破産をテーマに自己破産をすると奨学金の支払い義務はなくなるのか、
また奨学金を理由にした場合の自己破産のリスクなど、奨学金と自己破産にまつわる基礎的な知識についても触れたいと思います。

自己破産をすると奨学金の支払義務はなくなる?

結論から言うと、自己破産をすると奨学金の支払い義務はなくなります。
(免責が降りることが前提となります。)

ただ、奨学金がある人が自己破産をするメリットとしては、実はそれだけではありません。

奨学金がある人が自己破産をする3つのメリット

① 自己破産すると奨学金の支払い義務が免除される

自己破産をすると奨学金の支払い義務が免除されます。借金が無くなります。
自己破産の金額は人によってさまざまですが、例えば300万円の奨学金の残高が残っている方は、その300万円の金額を支払う必要がなくなるということです。

②自己破産しても一定の財産を残すことが出来る

「自己破産をすると、すべての資産がなくなるんじゃないの?」
「自己破産したら持っているお金や財産がなくなる」

と思うのが一般的な自己破産のイメージではないでしょうか。

実は自己破産をしても、すべての財産がなくなるわけではありません。
具体的には20万円以下の財産価値のあるもの(車や動産)、99万円以下の現金は手元に残すことが出来ます。

つまり自己破産をしてもある程度の財産は残すことが出来るのです。

少し具体的に見てみましょう。

残せる財産の基準は自己破産の種類(同時廃止、管財事件)によって異なります。

同時廃止とは「財産がほとんどない場合に利用される自己破産の手続き」、
管財事件とは「破産する人にある程度の財産があり、同時廃止で手続きを進めることができず、破産管財人が選任される自己破産の手続き」のことを指します。

どれだけの財産が残せるのか知りたい場合は、別記事「自己破産をすると?メリット・デメリットを解説 」にて詳しく解説しているので、そちらをご覧ください。
⇒自己破産をすると?メリット・デメリットを解説

自己破産のメリットの話に戻ります。

③自己破産すると奨学金の督促や強制徴収がなくなる

自己破産すると奨学金の督促や強制徴収がなくなるということです。これは精神的にも大きなメリットでしょう。

「奨学金延滞の払込書を毎月見る度に嫌になる」
「保証人に連絡が届いているのではないか」

など、奨学金を延滞してしていることで発生する、精神的な負担がなくなります。

自己破産にはこのような3つのメリットがあります。

自己破産の具体的なメリット・デメリットについては、以下の記事にて詳しく説明していますので、そちらをご覧ください。
⇒自己破産をすると?メリット・デメリットを解説

「自己破産すると奨学金の支払義務がなくなるのなら、すぐにでもしたい」
「今すぐにでも督促を止めて、精神的に解放されたい」

と考える人もいらっしゃるでしょう。

しかし、奨学金がある人が自己破産する場合は、検討すべきリスクも一部発生します。

あなたがそのリスクを受ける可能性があるのかどうか、確認すべきポイントを紹介します。

自己破産する前に、保証人をつけたかどうかを確認してください!

奨学金を借りる際の保証制度は、大きく分けて2種類あります。それは人的保証と機関保証です。
自己破産をする前にあなたが借りた奨学金が人的保証なのか、機関保証なのかを確認することが大切です。

人的保証とは

人的保証とは、家族や親族などが保証人・連帯保証人になる奨学金の保証制度のこと。
連帯保証人および保証人として日本学生支援機構等が定める条件を満たす人に、奨学生本人が依頼し、奨学金の返還について連帯保証人および保証人になることを引き受けてもらいます。

保証人や連帯保証人は、本人が奨学金の支払いをしない場合、本人に代わって奨学金を支払う必要があります。

機関保証とは

機関保証とは、日本国際教育支援協会などの公益財団法人が連帯保証をする制度のこと。
機関保証を選択した場合は、親や親族などの保証人・連帯保証人は不要です。

保証機関は、本人が奨学金の支払いをしない場合、本人に代わって奨学金の返済を行います
保証機関が本人に代わって返済した場合は、保証機関は本人にその金額(奨学金の未返済額及び延滞金等)を一括して請求します
支払いの請求に応じない場合は、法的措置(財産、給与の差し押さえ等)が執られますが、自己破産すれば借金は免責されますので、支払う必要はなくなります

奨学金が機関保証なら自己破産しても特に問題はないでしょう

機関保証の場合は、自己破産しても、家族や親族は保証人や連帯保証人になっていないので、迷惑がかからないし、自己破産したとしても知られる可能性は非常に低くなります。
機関保証での奨学金であれば親や親族に迷惑を掛けずとも自己破産できる可能性が高くなります。

また、自己破産をする本人も、奨学金の支払を免責されることになりますから、当然、保証機関からの請求を免れることになります。

奨学金の自己破産をするときは、親や親族が保証人になっている場合は注意してください

自己破産したら奨学金の保証人に迷惑がかかるの?

自己破産をする上で、最も気がかりな点は「保証人・連帯保証人に迷惑がかかるかどうか」でしょう。
この点が人的保証か、機関保証かで大きく変わります。

人的保証の場合は、以下のようなリスクが発生します。

  • 保証人(家族や親族など)に自己破産したことがバレる
  • 奨学金で自己破産すると「保証人・連帯保証人」に支払い義務が生じる
  • 保証人に支払い能力がない場合は、保証人自身も債務整理しなければならないかもしれない
    • 人的保証の奨学金を自己破産する場合は、上記のようなリスクが発生します。

      「保証人に迷惑を掛けずに借金を整理する方法はないの?」
      「メンツもあるので、親や親族に迷惑を掛けずに自己破産をしたい」

      と考える人もいらっしゃるでしょう。

      実は、奨学金の保証人に迷惑をかけずに借金を整理する方法はいくつかあります。

      奨学金の保証人に迷惑をかけずに借金を整理する方法

      ① 保証人の理解と協力が得られる場合は、自己破産して生活を立て直した後、保証人の分割返済に協力する方法がある

      保証人の金銭的負担を最小限に抑えて自己破産をする方法があります。
      それは、自己破産をして本人の生活を立て直したあとに、保証人の分割返済に協力する方法です。

      ポイントとしては、以下のようになります。

      • 保証人の理解と協力が得られる場合は、自己破産をし、保証人が日本学生支援機構と協議することで分割返済をできる可能性はある
      • 自己破産した本人が、免責を得て生活を立て直した後に保証人の分割返済に協力することは、自己破産手続きが終わった後は、自由に自分の財産を使っていいので、問題になる可能性は低い
      • 自己破産により奨学金以外の借金は免責されているので、保証人の奨学金の分割返済に協力し易い環境になる

      つまり、親や親族の理解と協力が得られるのであれば、一旦自己破産をして生活を立て直します。

      保証人に支払い義務が生じますが、学生支援機構と話し合いすることで、奨学金を分割返済できる可能性があります。

      自己破産をして生活を立て直したあとに、保証人が支払う分割返済に協力することも問題視されることはありません。自己破産をしても全ての財産を失うわけではなく、一定の範囲で自由に使っていい財産が認められますし、自己破産手続きの開始決定後に得る財産(給料など)は自由財産になります。

      つまり、自己破産をして生活を立て直した後に得た給料などは何に使っても本人の自由ですので、保証人が支払う分割返済に協力することも問題視されることはありません。

      また、本人に他に借金があった場合でも、それらの債務は自己破産によって支払義務が無くなっているので、経済的にも分割返済の協力がしやすくなります。

      少々複雑ですが、保証人への金銭的負担を最小限に抑えるのであれば、上記のような方法も存在します。

      ② 保証人に一切迷惑をかけられない場合は、奨学金以外の債務整理を行い、奨学金は減額や猶予・免除制度を利用する

      保証人や連帯保証人に相談ができない、理解が得られそうにないなど、一切迷惑をかけることが出来ない状況であれば、奨学金の減額や猶予・免除制度を利用するという方法もあります。

      ポイントとしては、

      • 奨学金は無利子や有利子でも利率が低いので、債務整理してもメリットは少ない
      • 他の債務(クレジットカードやローンなど)で家計が逼迫しているのであればそちらを債務整理する
      • 奨学金は減額返還や返還期限猶予、返還免除制度が利用できる
        • つまり、奨学金以外の借金が存在し、その借金だけを整理して、奨学金の支払いに関しては支払義務を免除してもらう(自己破産する)のではなく、減額返還や返還期限猶予、返還免除制度などの各種奨学金制度を最大限に利用するというものです。

          奨学金以外の借金を債務整理する方法

          債務整理とは、サラ金やクレジット会社と任意に交渉して、債務の返済総額や返済条件、期間を見直す和解をすることを言います。

          債務整理では、借入金について、利息制限法の法定利息で引き直し計算をしますが、古い借入れでは法定利息を超える利息を取っていましたので、引き直し計算をすると借入金の元本が減額されることがあります。

          そして、債務整理では、その引き直し計算された元本の分割返済を約し、かつ、その元本の分割返済に当たっては将来の利息が付かないように和解することになります。

          例えば、利息の引き直し計算の結果、借入元本が50万円残る場合、その50万円を毎月1万円ずつ50回にわたって返済することを合意し、その50回の分割返済中には利息が付かないことになります。

          なお、利息制限法の利息で計算し直すと、借金は全額が完済しており、返済する必要がないお金を返済し続けている場合があります。
          これを一般に過払い金といい、過払い金はサラ金やクレジット会社に返還を求めることができます。

          このようにして、奨学金以外の債務(クレジットカードやローンなど)については、債務整理をして、月々の返済額を減額させて、生活を立て直すことができます。
          それに加えて、奨学金については、次に述べる減額返還、返還期限猶予、返還免除制度を利用することができます。

          奨学金の減額返還、返還期限猶予、返還免除制度とは?

          奨学金には減額返還、返還期限猶予、返還免除制度などがあります。

          減額返還とは

          災害、傷病、経済困難、失業などの返還困難な事情が生じた場合に利用できる制度です。
          一定期間「当初割賦金を2分の1または3分の1に減額」して、減額返還適用期間に応じた分の返還期間を延長することにより返還しやすくなります。
          返還期限猶予とは
          災害、傷病、経済困難、失業などの返還困難な事情が生じた場合に利用できる制度です。
          一定期間「返還を停止し先送りにする」事により、その後の返還がしやすくなります。

          返還免除制度とは

          精神的もしくは身体的障害によって労働する能力が無くなったり、厳しく制限される場合などによって返還できなくなったときに利用できる制度です。全部もしくは一部の返還が免除されます。

          また、平成15年度(2004年3月31日)以前に大学院の第一種奨学生に採用となり、奨学金の貸与を受けた方が、所定の要件を満たし、教育又は研究の職に就いたときに、願い出により返還未済額の全部又は一部の返還が免除される制度があります。

          奨学金の制度を利用して生活を立て直す

          このように奨学金には所定の条件を満たせば、支払いを遅らせたり、一部を免除できたりする制度が存在します。

          その他の債務を整理し、奨学金の制度を利用して生活を立て直したあとに、奨学金の返還を行っていくという方法です。

          「保証人に迷惑を掛けずに奨学金の支払問題を解決できるのはわかったけど、自分では難しそう」「出来れば詳しい人に手伝ってもらいたい」と考える人もいらっしゃるでしょう。

          奨学金の返済で悩んだ場合は専門家に相談する

          奨学金の支払い問題に直面した場合は、自己破産だけが解決策ではありません。
          他にも債務を整理したり、支払いを猶予してもらったり、生活を立て直したりなど時間を掛けて解決する方法もたくさん存在します。

          借金問題は人には相談しにくいデリケートな問題。

          自分ひとりでインターネットの情報を探るのも一つですが、それよりも一度専門家に見てもらう方がはるかに効果的で早く解決する方法が見つかります。

          奨学金の支払いで悩んでいるのであれば、自己破産や債務整理の専門家である弁護士に相談することをお勧めします