自己破産するとどうなるのか?自己破産後の影響について教えて下さい(その②…自己破産後の生活・家族等への影響)。

前回の続きです。
前回はこちら→ 「自己破産するとどうなるのか?自己破産後の影響について教えて下さい(その①…自己破産後の財産)。」




②自己破産後の生活はどうなりますか?

▼仕事はどうなりますか?

自己破産のために仕事を辞めなければならないことはありません。
ほとんどの方がそれまでの仕事を続けながら、自己破産をされています。

ただし、自己破産をすると、免責確定まで特定の職業に就くことができなくなることがあります。
就くことが出来ない職業には、以下のようなものがあります。

[自己破産で制限を受ける職業]
弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、宅地建物取引士、
公安委員会委員、公正取引委員会委員
証券会社の外交員、商品取引所会員、貸金業者、警備員
質屋、生命保険募集員、損害保険代理店、
信用金庫等の会員・役員、一般労働派遣事業者とその役員
日本銀行の役員、旅行業務取扱管理者

こうした資格制限があるのは自己破産の手続期間中だけです。

免責許可の決定が確定したときは当然に復権し、資格制限はなくなります。

つまり、資格制限があっても、破産開始から免責確定までの約3,4か月の間であり、破産手続きが長引いても1年を超える場合は少ないでしょう。

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▼引越や旅行はできないのですか?

自己破産の手続中は、裁判所の許可なく「居住地を離れる」ことができません。

この「居住地を離れる」には、引越し、旅行、出張も含まれます。(破産法37条1項)

旅行や出張は、日帰りや1泊程度であれば裁判所の許可は必要ありません。

引越しは裁判所の許可が必要ですが、転勤や家庭の事情などにより引越しをする必要があることはいくらでも考えられますので、裁判所に住所変更許可の申立をすれば、ほとんどの場合、許可が出ます。

破産手続中に引越や出張などをするときは事前に弁護士にご相談ください。

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▼生活保護はどうなりますか?

生活保護の受給権も差押禁止ですので、自己破産をしたとしても、変わりなく、生活保護を受給することができます。

また、自己破産を申し立てた後に生活保護の申請をして保護費を受給することももちろん可能です。

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▼自営業はどうなりますか?

破産手続き開始後に個人事業・自営業を継続することが法律上禁止されているわけではありません。

もっとも、自己破産をすると、事業で使っている機材・設備や在庫品などの事業用資産は、原則として破産管財人が管理・処分することになります。また、売掛金も同じく破産管財人が管理処分することになります。

また、取引先が債権者であれば、信用を失い取引を継続できなくなることもあります。

このような事情から、個人事業・自営業については、自己破産により廃業せざるを得ない場合が多いでしょう。

もっとも、個人事業と言っても、特定の会社専属のフリーランスとして働く方などは、通常のサラリーマンと実態が変わらず、そのまま仕事を続けながら自己破産ができる場合も多いと言えます。

また、事業用資産がある個人事業主であっても、自己破産ではなく、事業を継続できる債務整理や小規模個人再生により借金問題の解決を図ることができます。

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▼自己破産後の生活費はどうなりますか?

自己破産をしても、一部の資格制限を除き、今までとおりの仕事を続けることができ、きちんと給料を受け取れますので、収入の範囲内で生活をしていくことになります。

自己破産では、破産手続開始決定時に存在する財産については、(破産者が手元に残すことができる自由財産を除いて)破産管財人に財産を引き継ぐことになりますが、破産手続開始後に取得した財産は破産手続きでの清算の対象とならず、破産管財人に引き継ぐ必要はありません。

そのため、自己破産をしても、将来の給料が奪われるという心配はありません。

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▼賃貸住宅の契約はできますか?

自己破産すると、信用情報機関に情報が登録され、新規の借入れやクレジットカードの申込み、ローンを組むことができなくなります。

もっとも、賃貸住宅の入居時の審査では、多くの場合、信用情報機関の情報を照会されることなく、自己破産をしたとしても部屋を借りることはできます。

ただし、入居時の審査で信用情報を照会する場合には審査に影響しますので、信販系(クレジット会社)の家賃保証会社を使う場合にはブラックリストに載っていることが原因で部屋が借りられないということもあります。

そのような場合には、信販系以外の家賃保証会社を使うか、家賃保証会社を使わずに連帯保証人で契約するという方法があります。

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▼スマホはどうなりますか?

自己破産をする場合でも、携帯電話やスマートフォンの通話料は、生活に必要不可欠な支出として、支払いを継続していても問題ないでしょう。

スマートフォンの端末機器を分割払いで購入している場合の割賦代金については、他の債権と同様に破産債権として扱うべきとも言えますが、破産手続開始後の自由財産で割賦代金の支払を継続できると考える余地もあります。

まだ定まった見解はありませんが、少なくともスマートフォンの通話料や端末の分割払いを滞納しているような場合には、そのままスマートフォンを使い続けることができなくなりますので、注意が必要です。

自己破産後にスマートフォンを新規購入する場合には、一括払いで購入することはできますが、信用情報に事故情報が登録されているため、スマートフォンを分割払いで購入することはできません。

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▼もう借金ができなくなりますか?

自己破産すると、CICやJICCといった信用情報機関に事故情報として登録されます。
(いわゆる「ブラックリスト」です)

そのため、自己破産をすると、クレジットカードが利用できなくなります。
約5年から7年間、利用ならび新規作成ができません。

また、クレジットカードのみならずローンを組んだり、新しく借金したりすることもできなくなります。

5~7年というと長い期間ですが、これは自己破産をした人が繰り返し借金を背負わないようにするための期間とも言えます。この期間は、借金をせずに自分の収入に合わせた生活をしていく良い機会と捉えるべきでしょう。

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③自己破産すると家族や保証人はどうなりますか?


▼家族にはどのような影響がありますか?

自己破産によって影響を受けるのは破産者ご本人です。原則として、ご家族の方に直接の影響は生じません。

自己破産しても、家族や親族が連帯保証人でもない限り、家族や親族に請求が行くことはありません。

また、自己破産をしても、家族の就職や借入れにあたって、不利益を生じることもありません。

ただ、自己破産をすると、破産者ご本人の自宅や車などの財産が処分されたり、安い賃料の賃貸住宅に引越しが必要になることもありますので、家族の生活に間接的な影響はあるでしょう。

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▼職場に知られてしまいますか?

自己破産をしても、裁判所等から職場に破産開始の通知書が届くことはありません。

もっとも、勤務先からお金を借りている場合は、勤務先も「債権者」として扱われ、破産開始の通知書が届きます。

また、自己破産の必要書類として、勤務先に退職金見込額証明書を発行してもらうことがあります。

退職金見込額証明書の発行を依頼すると、発行理由を尋ねられて、自己破産の準備をしていることを知られてしまうような場合には、勤務先の退職金規程などで退職金を計算する方法があります。

(▼退職金はどうなりますか?)

自己破産だけを理由に解雇することは「不当解雇」ですので、自己破産を職場に知られてクビになる、ということは通常はありません。

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▼保証人・連帯保証人にはどのような影響がありますか?

自己破産すると、破産した本人は借金の支払義務を免れます。

しかし、保証人や連帯保証人がいる場合には、債権者から保証人や連帯保証人が請求されることになり、その人に迷惑をかけてしまいます。

あなたがした借金に連帯保証人がいて、自己破産したことがバレたくないのなら注意が必要です。

自己破産することを決意したら、連帯保証人となってくれた人に経緯や状況を説明する必要も出てくるでしょう。 保証人にどうしても迷惑をかけたくない場合は、「任意整理」という方法が可能かどうか、弁護士と検討することもお勧めいたします。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?

自己破産後の生活や財産についてイメージを持って頂けましたでしょうか?

自己破産をすると、「借金」が免責され、生活を建て直していくことができます。

自己破産後の生活にはそれなりに影響はありますが、弁護士などの専門家に相談することでその影響を最小限にすることができます。

借金の返済の目途がたたない人は、新たな社会生活をスタートさせ、人生をやり直すために、自己破産を検討されるとよいと思います。

自己破産以外にも、債務整理、個人再生などの方法もありますので、 借金返済にお困りの方は是非一度、弁護士にご相談ください。

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