自己破産するとブラックリストに載りますか?その影響は?|ブラックリストが消えるまでの期間や対処法についても解説

自己破産を検討されている方の中には、自己破産をするとブラックリストに載ってしまうと不安に思われている方もいらっしゃると思います。

いわゆる「ブラックリスト」とは、正式な名称ではなく、信用情報機関に自己破産などの事故情報が記録されている状態を指します。

確かに、信用情報機関に事故情報が記録されると、ローンやクレジットカードを利用できなくなるなどの不利益が生じます。

しかし、自己破産をした後、一定期間が経過すれば事故情報は消え、新たにローンやクレジットカードを利用することも可能となります。

そこで今回は、自己破産によるブラックリストの影響や対処法、ブラックリストが消えるまでの期間などについて解説していきます。


自己破産をすると、「ブラックリスト」に載る?


いわゆる「ブラックリスト」とは、正式な名称ではなく、信用情報機関に事故情報(債務整理、長期延滞、自己破産など)が記録されている状態を指します。日本には主に「CIC」「JICC」「KSC」という3つの信用情報機関があり、これらの情報は金融機関やカード会社が共有し、審査に活用されます。

ブラックリストに載ると、金融機関やカード会社のサービスがほぼ全て受けられなくなります。

具体的には、
クレジットカードの使用・作成や新たな借入れができなくなる
賃貸住宅の契約の審査に通らない可能性がある
携帯電話・スマートフォンの分割購入ができなくなる

などの影響があります。


ブラックリストに登録された場合の影響やデメリット


ブラックリストに登録された場合の影響やデメリットについて、それぞれ詳しく解説します。

① 現在使っているクレジットカードは利用停止・強制解約となる



まず、自己破産を弁護士に依頼すると、弁護士は債権者に対し、依頼を受けたことを通知する“受任通知”を送ります。

そして、受任通知を受け取ったクレジット会社は、契約に基づいてクレジットカードの利用停止や強制解約を行うのが一般的です。

そのため、クレジット会社が自己破産の受任通知を受け取った時点で、契約しているクレジットカードはすべて利用できなくなります。


-注意しておく点-
・クレジットカード決済は、支払方法の変更が必要です!
クレジットカードは基本的にすべて強制解約となるため、光熱費、携帯電話料金、スポーツジムの会費、動画配信サービスの利用料金などをクレジットカード決済にされている場合、口座引落しなどへの支払い方法の変更が必要となります。

・家族カードも利用できなくなります!
自己破産をする方が契約しているクレジットカードで、配偶者や大学生のお子さんのために家族カードを作成している方もいらっしゃるかと思います。
しかし、クレジット会社が弁護士からの受任通知を受け取った時点で、その家族カードも利用停止や強制解約となり、利用できなくなります。



-家族名義のクレジットカードは影響を受けない-
家族の一人が自己破産をしたとしても、他の家族(配偶者や子供)が契約者名義であるクレジットカードは利用停止や強制解約になるといった影響を受けません。
クレジットカードの契約は個人単位で管理されるものなので、家族であっても影響を受けません。


② クレジット会社発行のETCカードも利用できなくなる



自己破産すると、クレジットカードの利用停止や強制解約とともに、クレジット会社が発行したETCカードも利用できなくなります。

クレジットカードを契約されている方はクレジットカードに紐づいているETCカードを利用していることも多いでしょう。

そのことを忘れていて、弁護士に自己破産を依頼した後もご本人や家族がETCカードを利用されていると、返済するつもりもないのに詐欺的な借入れをしたとして、免責が認められないことにもなりかねせん(破産法252条1項5号)。

そのため、弁護士に自己破産を依頼された際は、クレジットカードとともにETCカードも弁護士に手渡し、カード発行会社がカードの返還を求めてきたら、返還する必要があります。
なお、どうしてもETCカードを利用する必要がある場合は、課金して使用するデポジット型のETCカードであれば、自己破産をした後でもETCカードを利用することができます。


③ 新たにクレジットカードを作成したり、ローンを組むことができなくなる



信用情報機関に事故情報が登録されている間(ブラックリストの期間)は、金融機関の審査が通らないため、新たにクレジットカードを作成したり、ローンを組むことができなくなります。

具体的には、
新たなクレジットカードの使用・作成
消費者金融や貸金業者からの借り入れ
銀行や信用金庫からの事業資金の借り入れ
住宅ローンやカーローンなどの各種ローンの利用

など、信用情報機関に加盟している金融機関からの借入れができなくなります。


④ 賃貸住宅の契約の審査に通らない可能性がある



自己破産をするとアパートやマンションなどの賃貸契約はできない、というような法律や規則はありません。

そのため、自己破産した後も、新たに賃貸マンションの契約をすることができます。

しかし、賃貸保証会社による入居審査では、自己破産などの事故情報により入居審査が通らず、新たな賃貸住宅を借りられない場合があります。

「信販系」の賃貸保証会社では、CICやJICCといった信用情報機関の情報を閲覧して審査しますので、自己破産などの事故情報がある場合は、入居審査が通らないことになります。

また、信販系ではなくても、LICC(一般社団法人全国賃貸保証業協会)に加盟している賃貸保証会社である場合は、家賃の滞納があると審査に通らず賃貸契約ができない場合があります。

そこで、自己破産などによって信用情報にキズがあり、ブラックリストに載っている場合は、

CICやJICC、LICCに加盟していない独立系の賃貸保証会社を利用する
個人の連帯保証人をつければ賃貸保証会社が不要になる物件を選ぶ
保証人不要の公営住宅やUR賃貸住宅などを選ぶ
契約者(賃借人)の名義を破産者本人以外の名義にする

などの方法により、新たな賃貸住宅を探すといいでしょう。


⑤ 携帯電話・スマートフォンの分割購入ができなくなる



携帯電話会社もCIC、JICCという信用情報機関に加盟しているため、ブラックリストに載ると、携帯電話・スマートフォン本体の分割購入も制限されることになります。

携帯電話・スマートフォン本体の分割払い(割賦払い)も信販取引にあたるため、携帯電話会社は信用情報機関の事故情報を調査するためです。

他方で、ブラックリストに登録されてからも、一括払いであれば、携帯電話やスマートフォンを問題なく購入できます。


ブラックリストに登録される期間はどれ位?|CIC・JICC・KSCへの登録期間


上記のとおり、弁護士に自己破産を依頼し、契約しているクレジット会社が弁護士からの受任通知を受け取ると、クレジットカードは利用停止や強制解約となります。
また、自己破産をすると、信用情報機関でブラックリストとして登録され、しばらくの間、新たなクレジットカードを作ることもできなくなります。

しかし、自己破産をした後、永久にクレジットカードが作成できないわけではありません。
それでは、自己破産後のクレジットカードの新規契約はいつ頃からできるのでしょうか。


自己破産後に新たなクレジットカードをしばらくの間作れない理由



自己破産した後、新たなクレジットカードが作れなくなるのは、信用情報機関が管理している信用情報に、自己破産をしたことが事故情報として登録されてしまうためです。

このことを一般に「ブラックリストに載る」と言います。

信用情報とは、消費者金融、クレジットカード会社、金融機関が各業界で作成している信用に関するデータベースのことをいいます。
そして、この信用情報を管理している機関のことを信用情報機関といいます。

それぞれの信用情報機関と提携している消費者金融やクレジット会社などは、信用情報を閲覧できるようになっていて、新規契約が申し込まれた際には、必ずこのデータベースを確認しています。

そのため、自己破産をした方がクレジットカードの新規作成を申し込むと、審査の際に信用情報機関に登録されている事故情報が発覚し、審査が通らないということが起こります。
つまり、事故情報が登録されている期間(ブラックリストに登録されている期間)は、クレジットカードの新たな作成ができないということになります。


事故情報が消えるのはいつ?いつからクレジットカードが作れる?



信用情報機関への事故情報の登録期間は、3つの信用情報機関によって異なります。

CIC及びJICCでは免責許可決定確定日から約5年、全国銀行個人信用情報センター(KSC)では破産手続開始決定日から約7年と言われています。ただし、信用情報機関の手続きの都合上、登録期間については、多少前後することがあります。

機関名 事故情報の登録期間
CIC
((株)シー・アイ・シー)
5年
【所属している会員の業種】
信販会社、百貨店、専門店会、流通系・銀行系・家電メーカー系・自動車メーカー系クレジット会社、リース会社、保険会社、保証会社、銀行、消費者金融会社、携帯電話会社など
JICC
((株)日本信用情報機構)
5年
【所属している会員の業種】
消費者金融会社、流通系・銀行系・メーカー系クレジット会社、信販会社、金融機関、保証会社、リース会社など
KSC
(全銀協・全国銀行個人信用情報センター)
7年
【所属している会員の業種】
銀行など

このように、一般的には、自己破産後5~7年以上が経過すれば、クレジットカードの新規作成ができるようになります。

CIC (株式会社シー・アイ・シー)のHP
JICC (株式会社日本信用情報機構)のHP
KSC (全国銀行個人信用情報センター)のHP

ブラックリストでクレジットカードを作れない場合の対処法


自己破産をすると、ブラックリストに登録され、一定期間はクレジットカードが使えなくなります。しかし、決済方法が限られていて、カード決済でないと購入できない商品やサービスもあるかと思います。

そのような場合には、“家族カード”や“デビットカード”、“プリペイドカード”を利用するのも1つです。

家族カードは利用できる



信用情報は、あくまでも個人単位で管理されているため、自己破産をした方のご家族の信用情報には影響はありません。そのため、自己破産をしても、ご家族がクレジットカードの契約をし、そのクレジットカードの家族カードを利用することは可能です。

しかし、自己破産をして、借入に頼らない生活を新たにスタートさせたわけですから、家族カードであったとしても、なるべくカードに頼らない生活をすることをおすすめします。


破産者本人のデビットカードやプリペイドカードは利用できる



デビットカードは、登録している銀行口座から即時に代金が引き落とされ、銀行口座の預金残高不足の際は、そのときだけ利用不可になります。
デビットカードは、クレジットカードとは違って借入れにはならないため、信用情報の影響を受けることなく作成することができます。

プリペイドカードは、事前にそのカードに現金をチャージしておいて利用するカードです。前払いのために審査がなく、自己破産をしていても持つことができます。

そのため、商品やサービスの購入の際に、どうしてもカード決済が必要な場合は、デビットカードやプリペイドカードを利用するのも1つです。


後払い決済を利用する【※注:自己破産中は利用不可】



後払い決済とは、通販サイトなどで商品を購入後、手元に届いた請求書を使ってコンビニや銀行などで代金を支払う方法です。

このような後払い決済はブラックリストに登録されていても利用できる可能性があります。

しかし、後払い決済では、クレジットカードがなくても通販などの利用ができる反面、支払い能力以上に商品を購入するリスクがあります。

自己破産の手続き中に後払い決済を利用することについては、裁判所から自己破産の手続き中に新たな借入れをしたものと指摘されますので、後払い決済を利用すべきではありません。

また、一定額以上の購入に関しては信用情報を利用して審査されるケースもあります。


キャリア決済を利用する【※注:自己破産中は利用不可】



キャリア決済とは、商品やサービスなどの購入代金を月々の携帯電話料金(通話料など)と合算して支払う携帯電話会社の決済サービスのことをいいます。キャリア決済の場合、携帯電話会社と契約していれば利用できます。

キャリア決済もクレジットカードと同様に後払い方式のため、使いすぎには注意が必要です。

自己破産の手続き中にキャリア決済を利用することについても、裁判所から自己破産の手続き中に新たな借入れをしたものと指摘されますので、キャリア決済を利用すべきではありません。

他方で、チャージ式のキャッシュレス決済は、現金に代わる支払方法であり、後払いではありませんので、自己破産をしても利用することは可能です。


ブラックリスト(事故情報)が削除された後の注意点


ブラックリスト(事故情報)が削除された後は、新たにクレジットカードを作成したり、キャッシングをすることができるようになります。

しかし、ブラックリストが消えた後も、次のような点に注意すべきでしょう。

クレジットカードが本当に必要か検討する



まずは、クレジットカードが本当に必要かどうかしっかり検討しましょう。
特に、自己破産をした原因がクレジットカードを使いすぎたことにある場合、注意が必要です。クレジットカードは非常に便利なものですが、しっかりご自身で管理しなければ、結果的に使いすぎてしまうことにもなりかねません。
そのため、クレジットカードが必要か、きちんと検討してから、契約するようにしましょう。


事故情報が消えているか確認する



事故情報が残っている状態でクレジットカードの新規作成を申し込んでも、審査に通りません。
事故情報が消えているかどうか定かでない場合は、ご自身の信用情報について、各信用情報機関から書面で取り寄せて確認(開示請求)することができます。開示請求の方法や手数料については、各信用情報機関のホームページで掲載しておりますので、そちらもご確認ください。
信用情報を確認して、事故情報が残っていなかった場合は、クレジットカードの新規作成ができる可能性が高いと思われます。


1社ずつ申し込む



自己破産した後、初めてクレジットカードを作成する際には、1社ずつ申し込むことをおすすめします。
短期間に複数のクレジット会社にクレジットカードの新規作成を申し込むと、そのことが信用情報で判明し、あなたがお金に困っていると思われ、審査が通りにくくなるためです。

新たにクレジットカードを契約できたとしても、少額の利用を積み重ねてクレジットヒストリーを構築し、公共料金や家賃のカード払いに利用したりして、少しずつ金融機関の信用を回復するように心掛けるといいでしょう。


以前契約していなかったクレジット会社に申し込む



前回の自己破産で、債権者として挙がっていたクレジット会社では、自己破産をした情報を社内情報(社内ブラック)として保有しているため、信用情報機関では事故情報が抹消されていたとしても、クレジットカードを作れない可能性があります。

そのため、自己破産後にクレジットカードを作成したい場合には、今まで一度も契約したことのないクレジット会社を選ぶのが良いでしょう。


クレジットカードを使いすぎない



クレジット会社の審査が通り、クレジットカードが発行されたとしても、使いすぎないことに注意しましょう。

クレジットカードの返済方法にはリボ払いなどもあり、いつの間にか使いすぎてしまったということも、自己破産する方のよくある体験談かと思います。

2度目の自己破産は裁判所から厳しい審査を受け、免責が認められないという可能性もあるため、同じ失敗を繰り返さないよう、クレジットカードの利用方法にも十分注意しましょう。


自己破産とブラックリストのまとめ


自己破産をすると、信用情報に事故情報が登録され、一定期間はクレジットカードが利用できなくなりますが、永久に利用できなくなるわけではありません。

一般的に、自己破産後5~7年以上が経過すると、新たなクレジットカードは利用できるようになります。

また、クレジットカードが利用できない間、商品やサービスを購入する際にどうしてもカード決済が必要な場合には、クレジットカードの代わりにデビットカードやプリペイドカードを利用する方法もあります。

そのため、ブラックリストを過度に恐れる必要はなく、まずは借金の負担から解放されるため、自己破産を検討されるのも良いかと思います。

そして、自己破産後は借金に頼らず、堅実な生活を送り、少しずつ信用回復を図っていくといいでしょう。

まずは自己破産や借金問題に強い弁護士に相談してみることをおすすめします。

(記事公開日 2025.9.7)

この記事の監修者
弁護士 白川 謙三

弁護士 白川 謙三(大阪弁護士会所属)
大阪・北浜の平野町綜合法律事務所代表
弁護士22年目。債務整理、自己破産、個人再生、過払い金請求などの解決事例多数。
ご相談に真摯に耳を傾け、ご希望の沿った解決をサポートします。借金問題のご相談は無料ですので、ぜひお気軽にお問合せください。

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