自己破産 ⇒転職による収入減により住宅ローンを滞納。持ち家があっても、同時廃止による破産が認められた事例。

〈事案〉

(実際の事案を変更しています)

相談者は結婚を機に、3200万円の住宅ローンを組んで自宅不動産を購入しました。

相談者は工場に勤務しており、残業代を含めれば月30万円の収入があり、奥様のパート収入も月10万円あったので、結婚当初は月々12万円の住宅ローンを支払うことも可能でした。

奥様はお子様の出産を機にパートを辞め、専業主婦になりました。
相談者は3人家族になって、生活費が足りない時に、クレジットカードを利用して買い物をするようになりました。

その後、二人目のお子様が生まれ、相談者の家族は4人家族になり、クレジットカードやカードローンの利用が増えていきました。

相談者の勤務先が倒産することになり、最終2ヵ月分の給料が未払となってしまいました。
相談者は他の工場の就職が決まりましたが、新しい勤務先は残業もなく、当初の手取月収は20万円程に留まりました。

相談者は4人家族の生活費や住宅ローンなどの支払いができなくなり、住宅ローンを滞納するようになりました。

また、この頃には、相談者は住宅ローン以外にも、クレジットカードなどによる借金が約350万円に膨らんでいました。

相談者は、将来的にも住宅ローンやその他の借入金を返済できる見込みがないため、自己破産の相談に来られました。

・債権者数            7社
・総債務額       約3150万円
  (うち住宅ローン残債務2800万円)
・財産       預貯金 約20万円
    自宅不動産 評価額1200万円
       自動車(10年落ちの中古)


〈結果〉

・自己破産の申立てにより免責決定
・【債務  約3150万円 ⇒ 0円】
・破産申立てから免責までの期間  約3か月


〈弁護士の対応、解決のポイント〉

相談者の債務整理の方法としては、自宅を残す個人再生を選択することも考えられました。

しかし、相談者はすでに住宅ローンを滞納し、自宅は競売寸前の状態でした。相談者は家計の収入と支出のバランスを考えて、住宅ローンを含めて借入金が全てなくなる自己破産を選択することにしました。

持ち家を所有する人が自己破産をする場合は、原則として破産管財人が付く管財事件となります。そして、破産者の持ち家は破産管財人によって売却されることになります。

しかし、持ち家に住宅ローンの担保権(抵当権)が設定されていて、残りの住宅ローンがその持ち家の価値を大幅に上回っている状態(オーバーローン状態)であれば、持ち家は無価値と判断され、同時廃止が認められる場合があります。

相談者の事例では、住宅ローンの残額(2800万円)が、不動産の固定資産評価額(1200万円)の2倍を超えていたので、裁判所の運用により同時廃止による破産が認められました。

相談者のその他の財産も、預貯金約20万円、国産の自動車(10年落ちの中古)だけであり、同時廃止の財産基準の範囲内のものでした。

相談者は、勤務先の倒産により転職し、収入が大幅に減少したために住宅ローンなどの支払いができなくなったことを丁寧に説明しました。

その結果、相談者の破産については、同時廃止により免責決定が認められました。

尚、自宅不動産については金融機関によって競売申立てがなされ、相談者家族は賃貸住宅に転居して生活することになりました。


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