自己破産にはどのような書類が必要ですか(必要書類)?
自己破産では、最終的に免責決定が出れば、借金の返済義務を免れる(免責)という重大な効果をもたらします。
自己破産の手続きでは、裁判所は次のような内容を慎重に調査します。
●現在、借金が返せない状態であるか(支払不能かどうか)
●債権者に分配する財産があるかないか、あるいは財産を隠匿していないか
●免責不許可事由(浪費や詐術、財産隠しなど)になるようなことがないか
そのため、破産申立てをする際には、裁判所から様々な書類を提出するよう求められます。
そこで今回は、破産申立てに必要である代表的な書類について、紹介いたします。
自己破産の必要書類の一覧
自己破産を弁護士に依頼するにあたって、次のような書類を準備する必要があります。
1 住民票
発行後3か月以内で、世帯全員の記載があり、世帯主・続柄・本籍地などについて一切省略のないものが必要です。
マイナンバーは記載がない住民票が必要です。マイナンバーは破産手続きには必要がないので、法律上裁判所が保有できません。
2 賃貸借契約書、居住証明書
破産申立てをする本人が賃借マンション等にお住まいの場合、賃貸借契約書のコピーを提出します。
実際に住んでいる住所と住民票上の住所が異なる場合(例えば、友人の賃借マンションに住んでいる場合)には、その友人名義の賃貸借契約書と友人作成の居住証明書(破産申立人がその物件に住んでいることを友人が証明する書面)を提出することになります。
3 預貯金通帳
預貯金通帳については、申立前1年分のコピーを提出します。通帳に一括記載(「合計記帳」、「おまとめ」など)がある場合には、その部分について、金融機関の取引明細書をお取り頂く必要があります。一括記載のままでは、通帳の入出金の流れが分からないからです。
なお、インターネットバンキングをご利用されている場合は、ウェブ上の取引明細書を印刷したものでかまいません。
4 保険証券、解約返戻金見込額証明書
保険(生命保険、医療保険、自動車保険など)に加入されている場合、保険証券と解約返戻金見込額証明書のコピーが必要となります。
解約返戻金見込額証明書は、仮に保険を解約した場合に解約返戻金がいくら返ってくるかを保険会社に証明してもらう書面であり、保険解約返戻金が自由財産の範囲内に収まる場合には、保険を解約する必要はありません。
5 退職金見込額証明書
勤務先に5年以上勤めていらっしゃる場合、勤務先に退職金見込額証明書を発行してもらうことになります。退職金見込額証明書は、仮に、勤務先を辞めた場合に現時点で退職金がいくらになるかを証明する書面です。
なお、退職金見込額証明書の収集が難しい場合には、勤務先の退職金支給規程のコピーをご準備頂き、弁護士が退職金額を計算して、裁判所に報告する方法もあります。
6 不動産登記全部事項証明書(共同担保目録付)
現在または申立前2年以内に不動産を所有されている場合に提出します。
また、破産申立てをされる方の配偶者および同居親子が、現在または申立前2年以内に不動産を所有されている場合にも必要となります。
7 固定資産評価証明書
現在または申立前2年以内に不動産を所有されている場合に提出します。
固定資産評価証明書は、市が評価した不動産の評価額を証明するものであり、市役所や区役所で発行されます。
8 処分された不動産の売却金額、使途が判明する書類
申立前2年以内に不動産を処分されていた場合、その不動産の売却金額および使途が判明する書類のコピーを提出します。
9 車検証または登録事項証明書
自動車やバイクを所有されている場合、車検証または登録事項証明書のコピーを提出します。
10 所得証明書
直近2年分の源泉徴収票、市区町村発行の課税証明書、非課税証明書といった所得を証明する書類が必要です。課税証明書については、保険料控除などの控除欄等に省略のないものをお取り頂く必要があります。
11 確定申告
現在または申立前6か月以内に個人事業をされている場合には、直近2年分の確定申告書のコピーを提出します。
12 給与明細書
給与を受領されている場合には、申立前2か月分の給与明細書のコピーを提出します。
13 公的給付金受給証明書
生活保護、年金、失業保険などを受給されている場合は、それぞれ受給証明書が必要です。
14 支出に関する領収書
申立前2か月分の家賃、光熱費(電気・ガス・水道代)、携帯電話料金など、毎月定期的にお支払いになられているものの領収書のコピーを提出します。尚、口座引落によりお支払いになられている場合には、引落口座の通帳のコピーを提出します。
自己破産の申立書類の一覧
依頼者が準備した必要書類をもとに、弁護士が自己破産の申立書類を作成し、裁判所に提出します。
自己破産の申立書類には次のようなものがあります。
・破産申立書
破産申立人の氏名や年齢、負債総額などを記載し、裁判所に破産手続きの開始を求める書面となります。
・債権者一覧表
各債権者の会社名、住所、債権額や債権の種類、借入れの時期などを記載します。
債権の金額等により支払停止や支払不能の時期を把握し、また、借金の使途により免責不許可事由の有無などを判断します。
・財産目録
破産申立人の資産状況を把握して、支払不能であるかどうかを判断します。
また、財産の金額によって、破産手続きの種類(同時廃止または管財事件)も変わってきます。
・報告書
破産申立人の経歴や家族関係、破産申立てに至った事情、免責不許可事由の有無などを詳しく記載します。
・家計収支表
破産申立の直近2ヶ月の家計の収支状況を記載します。
これらの定型書式以外にも、個々の事案に応じて、裁判所から書類の提出を求められる場合があります。そのような場合、弁護士が裁判所の指示に従い、書類の補充や上申書を作成して事情を説明することになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
上記からも分かるように、自己破産の必要書類も色々あり、どのような書類が必要かをご自身で判断することが難しい場合もあります。
「自分の場合、どんな書類を提出したらいいのか分からない」
「作成しないといけない書類で記入ミスがあったら、面倒なことになりそうで心配」
「裁判所とのやりとりが面倒くさそう」
このような不安を抱えていらっしゃる方も多いと思います。
弁護士に依頼すると、必要書類に関するサポートが受けられ、面倒な書類作成の手間が省けるうえ、裁判所とのやり取りまで任せられます。
そのため、自己破産を考えていらっしゃる方は、まずは自己破産に強い弁護士に相談されることをおすすめします。