自己破産すると仕事に影響がありますか?|自己破産の職業制限やその他の債務整理の方法についても解説

借金の返済が苦しくなり「自己破産」を検討する際、もっとも大きな懸念材料となるのが「今の仕事を続けられるのか?」「会社にバレてクビにならないか?」という点ではないでしょうか。

結論から申し上げますと、自己破産をしても、ほとんどの方は今の仕事をそのまま続けることが可能であり、会社にバレることも基本的にはありません

しかし、一部の特定の職業に就いている場合や、会社から借入れがある場合など、注意しなければならない例外的なケースも存在します。

この記事では、自己破産が仕事に与える影響、会社に知られるリスクとその対策、職業制限の詳細、そして仕事への影響を避けるための他の債務整理の方法について、専門的な視点から徹底的に解説します。

<目次>
1. 自己破産すると仕事ができなくなる?
2. 自己破産は基本的に仕事には影響しない
 ◦ 自己破産が原因で、会社を解雇されることは基本的にない
 ◦ 自己破産を理由に異動や降格はある?
3. 自己破産をしたことは、会社にバレるのか?
 ◦ 自己破産をしたことは、基本的には会社にバレない
 ◦ 自己破産したことが会社にバレてしまうケースとは?
 ◦ 借金を放置していると、借金問題が会社にバレる!?
4. 自己破産するとできない仕事は?|職業制限の一覧
 ◦ 自己破産で職業制限のある職業
 ◦ ほとんどの職業は、自己破産をしても制限されない
5. 自己破産による職業制限の期間
6. 自己破産以外の借金問題を解決する方法
 ◦ 任意整理による解決
 ◦ 個人再生による解決
7. 自己破産と仕事のまとめ


自己破産すると仕事ができなくなる?


「自己破産=人生の終わり」「仕事も家もすべて失う」というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、これは誤解です。

自己破産は、国が法律(破産法)で定めた「経済的な再起」を支援するための制度です。そのため、手続きをしたからといって、無条件に職を失ったり、将来の就職が閉ざされたりすることはありません。

むしろ、借金の重圧から解放され、仕事に専念できる環境を取り戻すための手段といえます。

ただし、職業によっては法律上の制限を受ける場合があるため、正しい知識を持つことが重要です。


自己破産は基本的に仕事には影響しない


多くの会社員(サラリーマン)や公務員、パート・アルバイトの方にとって、自己破産が仕事に直接的な悪影響を及ぼすことはほとんどありません。

自己破産が原因で、会社を解雇されることは基本的にない



「自己破産したことが会社に知られたら、解雇(クビ)になるのではないか」を心配されている方もいらっしゃると思います。

自己破産をしたことを理由に会社を解雇されることは基本的にありませんので、ご安心ください。

労働契約法16条によって、解雇は①客観的に合理的な理由を欠き、②社会通念上相当と認められない場合、会社(使用者)はあなた(労働者)を解雇することが出来ないことになっています。

あなたが自己破産をしても、労働契約における労働者の義務である労務の提供には支障がありませんので、会社をクビにされることは基本的にありません。

ただし、例外として、自己破産の原因が「会社の金を横領した」など、会社に直接的な損害を与えた場合や、社会的信用を著しく毀損する行為があった場合は、懲戒処分の対象となる可能性があります。しかし、これはあくまで「非行行為」に対する処分であり、自己破産そのものが理由ではありません。

もし、自己破産を理由に会社から解雇されたり、懲戒処分を受けたりした場合には、不当な解雇、懲戒処分に該当する可能性がありますので、弁護士に相談し、対応を検討した方がいいでしょう。

※参考:労働契約法 | e-Gov 法令検索

自己破産を理由に異動や降格はある?



解雇はされないとしても、「配置転換(異動)」や「降格」の可能性はどうでしょうか。

一般的な職種(事務職、営業職、現場作業員など)であれば、自己破産を理由に不当な異動や降格を命じることはできません。

しかし、「資格制限」のある特定の職業に就いている場合は別です。

後述する警備員や保険募集人などの職業は、破産手続き中にその業務に従事することが法律で禁止されます。そのため、資格を使わない部署への一時的な配置転換(異動)を命じられる可能性があります。

また、銀行員などのようにお金を直接扱う職種の場合、自己破産した事実が会社に知られると、「金銭管理能力に問題がある」とみなされ、現金を扱わない部署へ異動になるケースも考えられます。これらは業務上の必要性に基づく措置として、違法とは言えない場合があります。


自己破産をしたことは、会社にバレるのか?


「解雇されないとしても、会社に知られること自体が恥ずかしい」「居心地が悪くなる」と考えるのは当然のことです。

自己破産をしたことは、基本的には会社にバレない



自己破産をしたことが会社にバレることは、基本的にありません。

あなたが自己破産をしたことが、裁判所から会社に報告されることはありませんし、債権者から会社に連絡がくることもないからです。

実際に、たくさんの会社員の方が会社に知られずに自己破産をし、借金問題を解決しています。

1. 裁判所から会社に通知はいかない
裁判所が勤務先に対して「この従業員が破産しました」と連絡することはありません。

2. 金融機関からの連絡も止まる
弁護士の受任通知発送後は、貸金業法21条1項9号により、貸金業者から取り立てをすることは禁止され、会社に電話がかかってくることもなくなります。

弁護士の受任通知の発送により、貸金業者の督促や取り立てから解放されることは自己破産の大きなメリットです。

※参考:貸金業法|e-Gov法令検索

自己破産したことが会社にバレてしまうケースとは?



原則としてバレないとはいえ、以下の特定の状況下では、会社に自己破産が知られるリスクが高まります。

1. 会社から借入れをしている場合

勤務先である会社から直接お金を借りている場合や、給料の前借りがある場合、会社は「債権者」となります。

自己破産では「すべての債権者」を平等に扱わなければならないため(債権者平等の原則)、会社だけを除外して手続きすることはできません。

そして、破産開始決定が出ると、裁判所から債権者である会社宛に、あなたが自己破産したという通知書が届きます。そして、会社は債権者としてあなたの破産手続きに参加することになります。

そのため、会社から直接借入れをしている方は、自己破産をしたことが会社に知られる前提で、破産申立てをする必要があります。


2. 労働組合や共済組合から借入れがある場合

会社員の方であれば労働組合、公務員の方であれば共済組合から借入れをしている場合も、自己破産をすると会社にバレる可能性が高いです。

なぜなら、あなたが自己破産した場合、窓口となっている会社に裁判所からの破産開始の通知書が届く可能性があるからです。

もちろん、会社から直接借入れをしているケースと同じく、労働組合や共済組合を債権者から除外して自己破産することは、債権者平等の原則に反するため、できません。

そのため、労働組合や共済組合から借入れをしている場合も、勤務先に自己破産をしたことが知られる前提で、破産申立てをする必要があります。


3. 退職金見込額証明書の取得が必要な場合

自己破産の申立てでは、資産調査のために「退職金見込額証明書」の提出を求められることが一般的です(特に勤続5年以上の場合など)。 退職金見込額証明書は、仮に、勤務先を辞めた場合に現時点で退職金がいくらになるかを証明する書面です。

経理担当者に証明書の発行を依頼する際、「何に使うの?」と聞かれることがあります。その際に、「裁判所に提出するためです。」などと伝えてしまうと、自己破産をするのでは?と疑われてしまう可能性があります。

そのため、退職金見込額証明書の発行理由を聞かれた際には、会社に自己破産を疑われないために、「金融機関から借入れをするためです。」や「住宅ローンを組むためです。」などと答えることも考えられます。

なお、退職金見込額証明書の収集が難しい場合には、勤務先の退職金支給規程のコピーをご準備頂き、弁護士が退職金額を計算して、裁判所に報告する方法もあります。

この方法によれば、会社に退職金見込額証明書の発行を依頼する必要がなくなりますので、会社に自己破産を疑われることもありません。

退職金支給規程から退職金を計算する方法については、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。


4. 官報(かんぽう)を見られた場合

自己破産をすると、国が発行する機関紙「官報」に、あなたの氏名、住所、自己破産したことが掲載(公告)されることになります。

そうすると、勤務先である会社に官報を見られて、自己破産したことがバレるのではないかと思われる方もいらっしゃると思います。

しかし、一般的な会社では、官報の内容を細かく調べることは非常に少ないので、官報が原因で自己破産したことが会社にバレる可能性は非常に低いです。

貸金業者や金融機関など官報をチェックする可能性のある勤務先もありますが、このような限られた勤務先に勤めていない限り、まず心配はないでしょう。


借金を放置していると、借金問題が会社にバレる!?



「会社にバレたくないから」といって、借金を放置したり、返済を滞納し続けたりすることの方が、実は会社にバレるリスクが高くなります。

1. 債権者から会社に連絡がくる

貸金業法21条1項3号によって、債権者から債務者の勤務先へ督促の電話をすることは、正当な理由がない限り禁止されています。しかし、他の方法では連絡がつかず、勤務先でないと連絡が取れないといった場合は、例外です。

そのため、あなたが、債権者からの電話や送られてくる督促状を無視し続けていると、債権者があなたの勤務先を知っている場合、債権者から会社に連絡がきてしまうこともあり得ます。そうすると、会社にあなたの借金問題がバレる可能性もあるでしょう。


2. 給与差押えをされる

借金を滞納し続けると、債権者は裁判を起こし、最終的に「給与の差押え(強制執行)」を行う場合があります。

給与差押えが実行されると、裁判所から会社に対して債権差押命令が届き会社は給料の一部を強制的に天引きして債権者に支払わなければなりません。この通知は本人より先に会社に届くことが多く、経理担当者や上司に借金トラブルが知られてしまいます

そのため、会社にバレずに解決するためには、差押えを受ける前に、早急に弁護士などの専門家に相談し、適切な手続き(受任通知の送付)をとることが最も安全です。


自己破産するとできない仕事は?|職業制限の一覧


自己破産の手続き期間中、法律によって従事することができない職業があります。これを「職業制限」または「資格制限」といいます。

自己破産で職業制限のある職業



主に「他人の財産を管理する業務」や「高い信用が求められる業務」に関わる資格や役職が制限の対象となります。 具体的には以下の職業が挙げられます。

自己破産で職業制限のある職業
士業 弁護士、司法書士、税理士、公認会計士、弁理士、行政書士、宅地建物取引士(宅建士)など
金融・保険関連 生命保険募集人(保険の外交員など)、貸金業者、証券外務員、質屋
警備業 警備員(施設警備、交通誘導など全般)、警備指導教育責任者
企業の役員 株式会社の取締役、監査役など(※民法の規定により、破産手続き開始決定を受けると委任契約が終了し、退任することになります)
その他 旅行業務取扱管理者、建設業(一般・特定建設業の許可)、風俗営業管理者、公証人、後見人など

これらの職業に就いている場合、破産手続き中は、その資格を使った業務を行うことができません。


ほとんどの職業は、自己破産をしても制限されない



逆に言えば、上記以外のほとんどの職業は制限を受けません。 例えば、以下の職業は自己破産中であっても問題なく続けることができます。

職業制限がない職業の例
• 医師、看護師、薬剤師、介護士、保育士
• 公務員(人事官や公正取引委員会委員長などを除く一般職)
• 一般企業の会社員(営業、事務、企画、製造、販売など)
• 教員
• 銀行員(取締役、執行役、監査役を除く一般行員)


自己破産による職業制限の期間


「職業制限を受ける仕事をしているから、自己破産したら一生その仕事ができない」と諦める必要はありません。

資格や職業の制限が解除されることを復権(ふっけん)と呼びますが、復権すれば以前と同じように働けるようになります。

職業制限はあくまで一時的なものです。

裁判所で「破産手続開始決定」が出ると資格や職業に制限がかかり、自己破産の免責許可決定が確定すると復権になります。

制限の開始:裁判所で「破産手続開始決定」が出た時点
制限の解除:免責許可決定が確定し、「復権」した時点

この期間は、個別のケースにもよりますが、早ければ3ヶ月程度、長くても半年〜1年程度です。 「復権」すれば、制限は解除され、再び資格を使って働くことができますので、ずっと資格制限が続くわけではありません。


自己破産以外の借金問題を解決する方法


自己破産は借金をゼロにする強力な手続きですが、仕事に支障が生じる場合も考えられます。

職業制限のある仕事に就いており、自己破産により一時的でも仕事ができなくなるのは困る場合や、会社からの借入れがあってどうしてもバレたくない場合は、自己破産を選択することが難しくなります。

そのような場合には、自己破産以外の債務整理の方法を検討すべきです。

任意整理による解決



任意整理とは、サラ金やクレジット会社と任意に交渉して、債務の返済総額や返済条件・期間を見直して和解をする制度を言います。

任意整理では、利息制限法の利息で引き直し計算をして、減額された元本の分割返済を約し、かつ、その元本の分割返済に当たっては将来の利息が付かないように和解することになります。
(※:金融機関によっては利息や遅延損害金をカットできないこともあります)

例えば、利息の引き直し計算の結果、借入元本が50万円残る場合、その50万円を毎月1万円ずつ50回にわたって返済することを合意し、その50回の分割返済中には利息が付かないように和解することになります。

任意整理では、会社から退職金見込額証明書を取得する必要はなく、官報に載ることもなく、資格制限もありません。

そのため、自己破産では資格制限のある職業でも続けることができ、会社からの借金を除外して任意整理を進めれば、会社にバレることもありません。

任意整理による場合は減額された借金の分割返済は続きますが、返済能力と返済する意思がある場合は、任意整理も検討してみるとよいでしょう。


個人再生による解決



個人再生とは、住宅ローンを除く借金を5分の1〜10分の1に減額し(ただし、100万円未満には減額できず、かつ、破産となった場合の予想配当総額を下回ることはできない)、減額された借金を原則3年で分割返済する制度を言います。

個人再生は自己破産と同じく、裁判所の手続きであり、官報に掲載されたり、退職金見込額証明書を求められる場合があり、また、会社からの借入金だけを除くことはできません。

しかし、個人再生では、職業・資格の制限を受けることはありません。その点では自己破産よりも会社にバレる可能性も低いといえます。

また、任意整理よりも借金を減額できる幅が大きいことも個人再生の大きなメリットです。


自己破産と仕事のまとめ


自己破産と仕事の関係について解説してきましたが、ポイントをまとめます。

1. 仕事への影響は限定的:自己破産をしても、ほとんどの職業では仕事を続けられます。

2. 解雇はされない:自己破産が原因で、会社を解雇されることは基本的にありません。

3. 会社にはバレにくい:基本的には会社に通知はいきません。ただし、会社からの借入れがある場合などは注意が必要です。

4. 放置は危険:借金を放置して給与差押えを受けると、会社にバレてしまいます。

5. 職業制限に注意:警備員や士業など特定の職業は一時的に仕事ができなくなります。

6. 代替手段がある:職業制限を避けたい場合や、会社に絶対バレたくない場合は「任意整理」や「個人再生」が有効です。

仕事への影響を最小限に抑え、最適な解決策を選ぶためには、ご自身の状況(職業、借入先、資産状況など)に合わせた判断が不可欠です。

まずは、自己破産や債務整理に詳しい弁護士に相談し、「自分の仕事の場合はどうなるのか」「会社にバレずに進める方法はあるか」を確認することをおすすめします。

(記事公開日 2026.2.10)

この記事の監修者
弁護士 白川 謙三

弁護士 白川 謙三(大阪弁護士会所属)
大阪・北浜の平野町綜合法律事務所代表
弁護士23年目。債務整理、自己破産、個人再生、過払い金請求などの解決事例多数。
ご相談に真摯に耳を傾け、ご希望の沿った解決をサポートします。借金問題のご相談は無料ですので、ぜひお気軽にお問合せください。

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