債務整理(任意整理)とは何ですか?わかりやすく教えて下さい。

借金が膨らみ、毎月の返済の負担が大きくなったときに、借金問題を解決する方法として、債務整理という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。

債務整理とは、借金が膨らみすぎてしまった方や返済しても元本がなかなか減らないといった方が知っておくべき対処法であり、借金を減額したり、借金を免除してもらうことのできる法的手続きのことです。

もっとも、債務整理に関しては周りの人にも相談しづらい内容であるため、債務整理の正確な内容をご存知ではなく、どうすればいいか悩んでいる方もいらっしゃると思います。

また、債務整理とよく似た言葉として任意整理という言葉もありますが、債務整理と任意整理の違いを正確に理解している人も少ないでしょう。

そこで、この記事では、債務整理の種類についてわかりやすく解説し、債務整理のなかでも利用者の多い任意整理について詳しく解説していきます。



債務整理の4つの種類


債務整理とは、借金問題を解決するための手続きの総称であり、借金(債務)の減額・免除や過払い金の返還などを求める手続きのことを言います。

具体的には、債権者(お金を貸している側)との交渉や、裁判所への申立てによって借金の減額・免除を実現しますが、個人でこれらを行うのは難しいため、弁護士などの専門家に依頼して手続きを代行してもらうのが一般的です。

債務整理には4つの種類があり、任意整理・自己破産・個人再生・過払い金請求があります。


任意整理とは何ですか?



任意整理とは、サラ金やクレジット会社などの債権者と任意に交渉して、借金を無理なく返済できるように、債務の返済総額や返済条件・返済期間を見直し和解をする制度を言います。

法律が改正され2010年6月に上限金利が引き下げられる前は、サラ金やクレジット会社は利息制限法の利息(年利15~20%)を超える利息を取っていました。そのため、取引を開始したタイミングによっては、借入当初から利息制限法の低い利息で計算し直すと、借金の元本が減少することがあります。

任意整理では、まず利息制限法の利息で引き直し計算をして、元本が減額されるかどうかを確認します。そして、債権者との間で元本の分割返済を合意するに際しては、将来の利息が付かないように和解することになります。

例えば、利息の引き直し計算の結果、借入元本が50万円残る場合、その50万円を毎月1万円ずつ50回にわたって返済することを合意し、その50回の分割返済中には利息が付かないことになります。

任意整理は、裁判所を通さずに貸金業者と交渉を行う債務整理の方法です。比較的簡便で生活への影響が少ないため、依頼者側の心理的ハードルも低く、債務整理のなかでも利用者が多い手続きです。

なお、任意整理は債務整理と言葉はよく似ていますが、厳密には、任意整理は、自己破産なども含めた債務整理の手続きの一つであって、債権者と利息カットや返済期間の延長などを交渉する手続きのことを言います。

しかし、弁護士などの専門家を除き世間一般では、任意整理と債務整理はほぼ同じ意味で使われていることが多く、任意整理のことを債務整理と呼んでいることも多いのが実情です。


自己破産とは何ですか?



多額の借金がある場合に、借金の負担から解放される最も強力な解決方法として、自己破産があります。

自己破産とは、多額の借金を抱えた個人や法人(会社)が、自ら裁判所へ破産の申立てをし、借金や財産を清算したうえで、残った借金の返済が免除される手続きのことを言います。

要するに、自己破産とは、手持ちの財産を失う代わりに、借金をすべて帳消しにする手続きです(借金がなくなることを“免責”と言います)。

ただし、自己破産をすることで、全く無一文になると生活ができなくなります。

そのため、自己破産をしても、破産者の生活再建のため、最大99万円の財産(自由財産)を所持したまま自己破産することが認められています。

また、自己破産の手続き後に得た新たな収入や財産は本人が自由に使うことができ、自己破産後の収入や財産が奪われることもありません。

自己破産は、財産がほとんどない人、返済の目途がたたない人に向いています。

具体的に、次のような状態であれば、自己破産を検討するタイミングであると言えるでしょう。

【自己破産が向いているケース】
・ 借金が多額で、借金総額が年収よりも多い
・ カードの限度額一杯に借りており、金融機関からこれ以上の借入れを断られた
・ 毎月利息を返しているだけで、元本は全然減らず、自転車操業状態に陥っている
・ すでに債権者から訴訟を提起され、給料や預金の差押えに遭っている
・ 病気などの事情によって無職になるなど、借金を返済できる見通しがない


個人再生とは何ですか?



個人再生とは、住宅ローンを除く借金を5分の1~10分の1に減額し(ただし、100万円未満には減額できず、かつ、破産となった場合の予想配当総額を下回ることはできない)、減額された借金を原則3年で分割返済する制度を言います。

個人再生は住宅を所有したまま、住宅ローン以外の借金の圧縮を図るのに適した制度と言えます。

個人再生では、住宅ローンの返済について住宅資金特別条項を定めることができます。
住宅ローンについては、原則として当初の住宅ローン契約の返済計画で返済することになりますが、再生計画の中で、住宅ローンの返済条件や返済期間を変更することも可能です。


過払い金請求とは何ですか?



過払い金請求とは、貸金業者に払い過ぎた利息を返還してもらうよう請求する手続きのことです。

前述したように、法律が改正され2010年6月に上限金利が引き下げられる前は、サラ金やクレジット会社は利息制限法の利息(年利15~20%)を超える利息を取っていました。

そのため、借入当初から、利息制限法の低い利息で計算し直すと、借金は全額返済済みとなり、返済する必要のないお金を返済し続けている場合があります。これを一般に過払い金と言います。過払金は、サラ金やクレジット会社の不当利得であり、その返還を求めることができます。

もっとも、過払い金の返還を渋ったり、倒産する貸金業者も出てきています。また、過払い金請求には時効もありますので、過払い金の返還を求めるには、一刻も早く弁護士に依頼することが望ましいでしょう。


任意整理が向いているケース


以下では、債務整理のなかでも利用者の多い任意整理について詳しく解説していきます。

以下のようなケースでは、任意整理で解決することがおすすめです。

【任意整理が向いているケース】
・ 利息・遅延損害金をカットすれば元金の分割返済はできる
・ 借金を滞納し、一括請求がきている
・ 複数から借入れしているが、保証人に迷惑を掛けられない
・ 住宅ローンや車両ローンがある
・ 家族や会社にバレたくない


利息・遅延損害金をカットすれば元金の分割返済はできる



安定した収入があるけれども、その収入の大半が借金返済に回っている方は任意整理を検討してみるといいでしょう。

任意整理では自己破産とは異なり、借金がなくなるわけではなく、基本的に3~5年で借金を分割返済することになります。

収入が安定している方の場合は、利息や遅延損害金をカットできれば、借金返済の目処が立つ可能性があります。

アルバイトによる収入や家族からの援助、年金などであっても安定して返済が続けられる場合には任意整理を利用できます。

そのため、利息や遅延損害金をカットして、元金を3~5年の分割返済にすれば、無理なく借金返済ができそうな方は、弁護士に任意整理を相談してみるといいでしょう。

他方で、収入がない場合や収入が不安定な場合は、借金の分割返済ができなくなる恐れがあるため、任意整理を進めることは困難です。

また、生活保護費は借金返済に利用できないため、生活保護受給者は基本的に任意整理を利用できません。


借金を滞納し、一括請求がきている



借金を数か月滞納すると、多くの場合は債権者から残債を一括請求されます。しかし、一括請求がきていても任意整理をすれば解決できる可能性があります。

弁護士が代理で任意交渉することにより、借金の一括請求を分割返済に戻したり、利息や遅延損害金をカットできる可能性があります。

もっとも、借金の滞納期間が長いため、債権者が任意整理による分割返済に応じてくれない場合もあります。また、借金が多すぎて、分割返済できる目処が立たない場合もあるでしょう。

このような場合には、任意整理ではなく、自己破産や個人再生を検討するといいでしょう。


複数から借入れしているが、保証人に迷惑を掛けられない



保証人付きの借入れについて、主債務者が任意整理や自己破産をすると、ほとんどの場合は債権者から保証人に請求されます。

しかし、任意整理では対象とする債権者の選択が可能であり、保証人付きの借入れを任意整理の対象から外すことができます(他方で、自己破産では、一部の債権者だけを除くことはできず、保証人付きの借入れだけを除くことはできません)。

保証人に迷惑を掛けたくない場合や、返済に困っている現状を保証人に知られたくない方もいらっしゃると思います。

そのような場合には、保証人付きの借入れ以外を対象に任意整理すれば、保証人には特に影響を及ぼすことはありません。


住宅ローンや車両ローンがある



自己破産をする人が持ち家を所有する場合、不動産は自由財産とは認められず、持ち家は破産管財人によって売却されることになります。破産管財人が売却できなかった持ち家については、住宅ローンを貸している金融機関が競売の申立てをすることになります。

そのため、自己破産後はご自宅を手放すことになり、住み続けることはできなくなるのが一般的です。

また、車両ローンが残っている場合は、車両ローンが完済されるまで、ローン会社が車両の所有者となっていることが多いでしょう。これを所有権留保といい、自己破産をすると車はローン会社に引き揚げられますので、車を手元に残すことはできません。

そこで、ご自宅や車を残したい場合は、住宅ローンや車両ローン以外の借入れを任意整理の対象とし、住宅ローンや車両ローンは今まで通り支払うことが考えられます。

こうすることで借金全体の返済の負担を軽減しつつ、ご自宅や車を残すことができます。


家族や会社にバレたくない



任意整理は自己破産や個人再生とは異なり、裁判所を利用する手続きではありません。

裁判所を利用する手続きでは、本人以外の家族の収入・支出の資料(家族の給与明細書や光熱費・携帯電話料金の領収書など)や本人の勤務先の退職金見込額証明書を提出することが必要となる場合があります。また、自己破産などの場合は、本人名義の財産(自宅や車など)を手放さなくてはならないこともあります。

よって、裁判所を利用する手続きでは、家族や会社に自己破産や個人再生をした事実がわかってしまう可能性があることは否定できません。

一方、任意整理では、本人以外の家族の収入・支出の資料や本人の退職金見込額証明書は必要ではなく、原則として財産を手放すこともないため、家族や会社にバレないように手続きを進めることは十分に可能です

弁護士や司法書士に相談すれば、家族に内緒で依頼できるため、借金問題を相談したことを周りに知られたくない人は任意整理がおすすめです。


任意整理ができる人の条件


任意整理は、誰でも必ずできるわけではありません。任意整理を利用するには、主に次の3つの条件があります。

【任意整理ができる条件】
・ 安定した収入があること
・ 利息をカットすれば、3~5年の間に完済を目指せること
・ 今後も必ず返済する意思があること

まず、任意整理は基本的に借金を返済していく手続きですので、給料やその他の安定した収入があることが必要です。

ただし、例えば正社員としての給料だけでなく、アルバイトによる収入や家族からの援助、年金などであっても安定して返済が続けられる場合には任意整理を利用できます。

任意整理では基本的に、利息をカットして、3〜5年程度かけて借金の完済を目指します。3~5年を超える長期の返済計画では、債権者が合意せず、任意整理が成立しない場合も多いでしょう。

また、任意整理では、債権者との間で返済計画を記載した和解書を作成したら終わりではありません。その和解書で約束したとおりに借金を分割で返済していく必要があります。

そのため、任意整理を利用する人は借金をきちんと返済する意思があり、将来的にも返済が可能であるかをしっかり考えて、任意整理を進めるべきでしょう。


任意整理の流れ


任意整理はどのような手順で行うのでしょうか。一般的な任意整理の流れは、次のとおりです。


① 任意整理の相談・依頼

借金問題の解決の第一歩は、弁護士への相談です。

弁護士に相談することで、借金問題の全容が把握でき適切な解決方法を提案してもらえます。

弁護士のアドバイスを聞いて、任意整理や自己破産などの手続きを選択し、弁護士に依頼します。

② 受任通知の発送

弁護士が債権者に「受任通知」を発送し、債権者から債権に関する資料(債権調査票や取引履歴)を集めることになります。

受任通知とは、弁護士が依頼者の委任を受けたことを債権者に通知する書面です。

受任通知を受け取った債権者は、それ以降は弁護士と連絡を取ることになり、任意整理の依頼者に取り立て等の連絡をすることが禁止されます。

債権者から直接の取立てがあると、「家族の前で督促が来たらどうしよう…」「会社まで督促の電話がかかってくるかも…」などと不安が尽きないですが、こうした直接の取立てを止められるのは、任意整理の大きなメリットです。

また、受任通知の送付から任意整理の手続きが完了するまで、月々の返済は一旦ストップすることになります。

③ 取引履歴の開示請求

受任通知の送付とともに取引履歴の開示を債権者に請求します。

借入と返済の取引履歴が開示されることで、過去の取引の状況がわかり、利息制限法の利息で引き直し計算をすることによって、元本が減額されるかどうかも確認できます。

④ 借金の引き直し計算

前述のとおり、2010年6月に上限金利が引き下げられる前は、サラ金やクレジット会社は利息制限法の利息(年利15~20%)を超える利息を取っていました。

そのため、取引を開始したタイミングによっては、借入当初から利息制限法の低い利息で計算し直すと、借金の元本が減少することがあります。

⑤ 和解書の締結・過払い金請求

借金の引き直し計算をして元本を確定し、その元本を原則3~5年で分割返済する内容で債権者と合意し、和解書を締結します。

債権者との間で元本の分割返済を合意するに際しては、将来の利息が付かないように和解することになります。

また、利息制限法所定の利息による引き直し計算の結果、借金は全額返済済みとなり、返済する必要のないお金を返済し続けている場合は、いわゆる過払い金が発生していることになります。過払い金は、サラ金やクレジット会社の不当利得であり、その返還を請求することができます。

⑥ 任意整理に基づく返済

任意整理での合意に基づき、毎月の分割返済を継続します。

和解書のとおり3~5年の分割返済を完了すると、無事に借金はなくなります。


債務整理と任意整理のまとめ


いかがでしたしょうか?

債務整理や任意整理という言葉は聞いたことがあると思いますが、その内容や手続きの流れについても具体的にイメージして頂けたと思います。

債務整理には、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求の4つの方法があり、どの方法が適しているかは借金額や収入状況などによって異なります。まずは、弁護士などの専門家に相談することが借金問題の解決の第一歩です。

債務整理や任意整理を進めることで、いままでお金に困っていた生活から抜け出すことができ、精神的にもゆとりができて、その後の人生を再設計することができます。

そのため、お一人で悩む前に、お気軽に債務整理や任意整理に強い弁護士に相談することをお勧めします。

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