任意整理のメリットとデメリットについて教えて下さい。

多額の借金の返済に追われ、債務整理や任意整理を検討しているけれども、債務整理に対するイメージから漠然とした不安を抱えている人も少なくないと思います。

しかし、債務整理は、多額の借金のため身動きが取れなくなった人が、借金の負担を減少させたり(任意整理や個人再生)、借金の返済義務を免れて(自己破産)、新たな社会生活をスタートさせ、人生をやり直すための制度です。

そのため、債務整理について、ネガティブなイメージを持つ必要はなく、債務整理に関する正しい知識を身につけ、これからの人生を立て直すきっかけにして欲しいと思います。

債務整理には任意整理や個人再生、自己破産などの方法がありますが、債務整理の方法の中で、最も選ぶ人が多いのが「任意整理」です。

任意整理は裁判所を介さないでできる手続きであり、この記事では任意整理のメリット・デメリット、その後の生活に与える影響などについて詳しく解説していきます。



任意整理とは何ですか?


任意整理とは、サラ金やクレジット会社などの債権者と任意に交渉して、借金を無理なく返済できるように、債務の返済総額や返済条件・返済期間を見直し和解をする制度を言います。

任意整理では、債権者(お金を貸している貸金業者や金融機関)に対し、「将来利息をカットしてもらい、残った借金を3~5年で返済する」という内容で和解し、無理なく返済できるように交渉することが一般です。

例えば、借入元本が50万円残る場合、その50万円を毎月1万円ずつ50回にわたって返済することを合意し、その50回の分割返済中には利息が付かないようにします。

なお、過去(2010年6月以前からの取引)に利息制限法を超える利息である、いわゆるグレーゾーン金利で利息を支払っていた部分がある場合、借入当初から利息制限法の低い利息(年利15~20%)で計算し直すと、借金の元本が減少することもあります。

任意整理は、裁判所を通さずに貸金業者と交渉を行う債務整理の方法です。比較的簡便で生活への影響が少ないため、依頼者側の心理的ハードルも低く、債務整理のなかでも利用者が多い手続きです。

同居する家族にバレないように借金を整理したい方は任意整理を検討するといいでしょう。


任意整理のメリット


以下では、任意整理をするメリットについて紹介します。

【任意整理のメリット】
・ 督促や取り立てから解放される
・ 借金の返済額が軽減される
・ 過払い金が戻ってくる可能性がある
・ 手続きが簡単
・ 官報掲載や職業制限・住居移転制限がない
・ 財産を手放す必要がない
・ 任意整理の対象とする債権者を選べる
・ 第三者に知られるリスクは小さい


督促や取り立てから解放される



任意整理を弁護士に依頼した場合、代理人となったことを債権者に通知する受任通知を送付します。

受任通知を受け取った債権者は、それ以降は弁護士と連絡を取ることになり、任意整理の依頼者に取り立て等の連絡をすることが禁止されます。

債権者から直接の取立てがあると、「家族の前で督促が来たらどうしよう…」「会社まで督促の電話がかかってくるかも…」などと不安が尽きないですが、こうした直接の取立てを止められるのは、任意整理の大きなメリットです。

また、受任通知の送付から任意整理の手続きが完了するまで、月々の返済は一旦ストップすることになります。


借金の返済額が軽減される



任意整理では、将来利息をカットして元金を分割返済しますので、利息がある場合と比べて返済総額は確実に減少します。また、3年から5年程度の長期分割払いで返済しますので、毎月の返済額が下がることが多いでしょう。

任意整理をすることで、従来の契約では返済をする際に支払っている利息をカットしてもらえます(注1)。

毎月の返済のうち一定割合は利息が占めており、返済しても返済しても減らないと感じる方も多いです。

任意整理で将来利息がカットされると、返済した分が全額元金に充当され、返済すれば返済するほど元金が減ることになります。そのため、完済するのも従来よりも早くなります。

また、任意整理では、利息以外にも発生している「遅延損害金」の免除も期待できます。

遅延損害金とは、期日までの返済が間に合わなかった場合に生じるペナルティです。

返済が遅れると発生する遅延損害金ですが、利息よりも高い利率が定められていることから、返済できていないとかなりの金額になることがあります。

任意整理によって、発生した遅延損害金をカットしてもらい、元金のみの返済とすることを交渉できます。

注1)借入期間が短い場合や既に訴訟が提起されている場合などは、貸金業者が将来利息や遅延損害金のカットに応じない場合もあります。


過払い金が戻ってくる可能性がある



任意整理をすると、過払い金が戻ってくる可能性があります。

過払い金とは払いすぎてしまった利息のことを指しますが、法律が改正され2010年6月に上限金利が引き下げられる前は、サラ金やクレジット会社は利息制限法の利息(年利15~20%)を超える利息を取っていました。

そのため、借入当初から、利息制限法の低い利息で計算し直すと、借金は全額返済済みとなり、返済する必要のないお金を返済し続けている場合があります。これを一般に過払い金と言います。過払金は、サラ金やクレジット会社の不当利得であり、その返還を求めることができます。

任意整理の手続きを進める中で過払い金が見つかることがあり、回収した過払い金は生活費や他の債務の返済などに充てることができます。


手続きが簡単



任意整理は手続きが簡単というメリットがあります。

自己破産・個人再生は、裁判所に申し立てをする手続きで、複雑な申立書類の作成が必要です。

自己破産・個人再生は弁護士に依頼して行うのがほとんどですが、この場合でも申立書類に記載する事項についてご本人から聴取したり、ご本人に申立書に添付する必要書類を集めてもらう必要があり、これらの作業はかなり負担になります。

任意整理では、このような書類の提出が不要なので、手続きが簡単であるというメリットがあります。

また、自己破産・個人再生ともに、裁判所や破産管財人・個人再生委員との面談が必要となることがあります。

これらは平日の昼間に行われるので、平日の昼間に仕事をしている人であれば、仕事を休む必要も出てきます。

任意整理では、裁判所に出向く必要はなく、弁護士・司法書士が債権者と交渉をしてくれるので、どこかに出頭する必要はありません。

このように任意整理は気軽に手続きできる点は大きなメリットと言えるでしょう。


官報掲載や職業制限・住居移転制限がない



自己破産・個人再生では、国が発行している官報という紙面・インターネットに掲載されます。

任意整理では、貸金業者と交渉するだけなので、任意整理したことが官報に掲載されることはありません。

自己破産をすると、免責確定まで特定の職業(例:保険外交員や警備員)に就くことができなくなることがあります。

また、自己破産では、手続き期間中は住居移転制限があり、引越し、旅行、出張などについて裁判所の許可が必要となる場合があります。

任意整理では、このような職業制限や住居移転制限は受けることはありません。


財産を手放す必要がない



個人の自己破産では、法律で認められる自由財産(最大99万円)は処分せずに手元に残すことができますが、それを超える財産は破産管財人に引き渡し、お金に換えて、債権者への配当に当てられるになります。

そのため、基本的に破産者の手元に大きな資産は残りません。特に、不動産は自由財産とは認められず、手放すことになります。

これに対して、任意整理は私的な整理であるため、財産の処分は必要ありません。任意整理の場合、資産を手元に残しながら、借金の整理・減額を実現することが可能となります。

仮に、担保付きの借金(例:住宅ローン)がある場合でも、任意整理の対象から外すことによって、抵当権の実行を逃れることができます。

よって、他の債務は任意整理をしたとしても、住宅ローンは任意整理の対象から外し、契約通りに返済を継続することによって、そのまま家に住み続けることが可能です。


任意整理の対象とする債権者を選べる



自己破産・個人再生では、すべての債権が手続きの対象となります。

しかし、それでは奨学金などのように連帯保証人がいる場合、連帯保証人に請求が行き、迷惑をかけることになります。

また、自動車・住宅ローンのような場合には目的物(自動車・住宅)が売却されてしまい、手放さなければなりません。

これに対して、任意整理はあくまで債権者1社1社と話し合う手続きですので、対象とする債権者を選ぶことができ、連帯保証人がいる債務や担保がある債務などを外すことができます。

そこで、奨学金の連帯保証人に迷惑をかけたくない場合には、奨学金については任意整理から外して従来通り返済をすることも可能です。また、住宅ローンは契約通りに返済を継続して、家に住み続けることができます。

このように、不都合が生じる債権者がいる場合に、その債権者を外して手続きを行えるのが任意整理のメリットです。


第三者に知られるリスクは小さい



他の債務整理手続きに比べると、任意整理は第三者に知られるリスクが小さいことがメリットです。

自己破産や個人再生は、家計の収入状況や勤務先の退職金の有無がわかる書類など、様々な書類を裁判所に提出する必要があります。

これらの書類を入手する過程で、家族や勤務先に自分が自己破産することを知られてしまう可能性があります。

自己破産で管財手続きになる場合には郵送物が管財人に転送されることからも、家族にバレる可能性があります。

また、自己破産・個人再生では、国が発行している官報にも掲載されます。

他方で、任意整理では、自己破産のように書類を集める必要がなく、弁護士が債権者と交渉するだけなので、家族や勤務先にバレにくいのが特徴です。

任意整理では、郵便物の転送や官報に掲載されることもありません。

そのため、任意整理では、周りの人に知られずに借金を整理・減額することが可能となります。


任意整理のデメリット


では、任意整理をするとどのようなデメリットがあるでしょうか?
以下では、任意整理のデメリットについて、詳しく解説します。

【任意整理のデメリット】
・ ブラックリストに登録される
・ 借金を大幅に減額できるわけではない
・ 収入がない・少ないような場合には利用できない
・ 和解できないなど失敗するケースがある
・ 全ての業者が交渉に応じてくれるわけではない
・ 同じ会社からは借金するのが難しくなる
・ 主債務者が任意整理すると保証人は一括返済を迫られる


ブラックリストに登録される



任意整理をすると、CIC、JICC、KSCといった信用情報機関に事故情報として登録されます。
いわゆるブラックリストに載るという状態です。

任意整理をはじめて、弁護士・司法書士からの受任通知が届いた段階で、任意整理をしたことが事故情報として信用情報に登録されます。

そのため、任意整理をすると、クレジットカードが利用できなくなります。

クレジットカードを作成する場合、カード会社は新規発行者の与信をチェックするために、信用情報機関(CIC、JICC、KSC)に照会します。

その信用情報機関に任意整理した履歴が残るため、クレジットカードの新規契約ができなくなります。

クレジットカードの発行だけでなく、マイカーローンの契約、住宅ローンなども組めなくなってしまいます。

事故情報の掲載期間は信用情報機関によって異なりますが、おおむね任意整理による完済から5年とされています。

事故情報の掲載を大きなデメリットに感じて任意整理・債務整理を行わない方も多いのですが、いずれにしても借金を長期延滞すると、延滞が事故情報となって同じくブラックリストとなります。

また、 任意整理によってクレジットカードなどが使えなくても、デビットカードやキャッシュレス決済など、さまざまな代替手段を利用することができます。


借金を大幅に減額できるわけではない



任意整理は、ほかの債務整理のように借金の元本自体が大幅に減額されるわけではありません。

自己破産をすれば、原則として借金などの債務は全額免責されます。個人再生をすれば、債務が1/5から1/10に減額され、分割して支払うことになります。

これに対して、任意整理により分割で返済する場合には、元金は全額支払うことになります。

ただ、前述したように、任意整理をすることで従来の契約では返済をする際に支払っている利息をカットしてもらえます。

任意整理で将来利息がカットされると、返済した分が全額元金に充当され、返済すれば返済するほど元金が減ることになります。

借金の金額が多額で、将来利息のカットだけでは返済できそうにない場合には、任意整理ではなく、自己破産や個人再生を検討するといいでしょう。


収入がない・少ないような場合には利用できない



任意整理は借金の将来利息はカットされますが、返済を続けることが大前提です。

そのため、任意整理後に返済を続けていけるだけの安定した収入があることが必要となります。

そのため、無職の方や生活保護を受給している方は任意整理ができず、一定の収入がなければ手続きできません。

なお、学生や専業主婦の場合は親や配偶者の収入が安定しており返済に協力してもらえるのであれば、任意整理を検討できます。


和解できないなど失敗するケースがある



多くの金融機関は任意整理に応じてくれますが、事情によっては任意整理に応じてもらえず、和解できずに失敗する可能性もあります。

まず、債務者本人からの任意整理の交渉には応じてもらえない場合があります。

弁護士や司法書士などの専門家からの任意整理の交渉には応じますが、債務者本人との交渉には応じないと社内規定で決まっている金融機関も存在します。

お金を借りてすぐに任意整理をしようとした場合など、取引期間が極端に短い場合は債権者が任意整理に応じてくれない可能性があります。

取引期間が短いと「初めから任意整理をするつもりだったのでは?」と疑いを持たれることがありますし、任意整理の申込みが悪質であると判断されることもあるでしょう。

債権者に2回目の任意整理を申し入れた場合も、信頼してもらえず、任意整理に応じてもらえない可能性があります。

このように債権者が任意整理の交渉に応じてくれない場合は、任意整理はできませんので、自己破産や個人再生を検討することになるでしょう。


全ての業者が交渉に応じてくれるわけではない



債権者の中には、はじめから任意整理に応じてくれないところもあります。

特に小規模の金融会社(いわゆるマチ金など)や一部の債権回収業者は将来利息のカットに応じてくれず、将来利息をつける、頭金を払う、分割回数を短くする、家計や勤務先を開示するなどの様々な条件を提示してくることがあります。

任意整理は裁判所を通さず手続きするため、自己破産や個人再生のような強制力はありません。

いくら交渉しても債権者から合意を得られなければ、任意整理を進めることはできません。

そのため、債権者が任意整理の交渉に応じない場合も自己破産や個人再生を検討することになるでしょう。


同じ会社からは借金するのが難しくなる



任意整理は当初の契約通りの返済をしないという債務不履行であり、債権者との借入当初の約束を破ったことになるため、債権者からの信頼を失ってしまいます。

債権者が金融機関の場合、任意整理をしたという事実は、債権者の独自のデータベースに半永久的に記録されます。

そのため、たとえ信用情報機関の事故情報が抹消されたとしても、同じ金融機関から再び借金をすることは難しくなります。


主債務者が任意整理すると保証人は一括返済を迫られる



保証人・連帯保証人付きの借金を任意整理の対象にすると、保証人が債権者から一括請求を迫られることになります。

ただし、前述したように、任意整理はあくまで債権者1社1社と話し合う手続きですので、対象とする債権者を選ぶことができ、保証人がいる債務を対象から外すことができます。

そこで、保証人に迷惑をかけたくない場合には、保証人・連帯保証人付きの債務を任意整理から外して従来通り返済をすることも可能です。

また、どうしても保証人付きの債務を任意整理の対象にする必要がある場合には、保証人と一緒に任意整理をおこなうことが考えられます。

これにより保証人に対する一括請求を一旦止めることができます。

ただし、保証人にもブラックリストに載るなどのデメリットがあるので、事情を説明して理解を得る必要があるでしょう。

尚、奨学金の保証人・連帯保証人については、主債務者本人(奨学生)が自己破産や任意整理をした場合にも、保証人に一括請求をせず、保証人の分割払いに応じてくれることが多いでしょう。


任意整理後の生活への影響


これまで述べてきたとおり、任意整理は手続きが簡単で利用しやすいため、債務整理のなかでも利用者が多い手続きです。

その一方で、任意整理後の生活への影響については、次のような注意点も存在します。

【任意整理後の生活への影響】
・ クレジットカードの作成・利用ができなくなる
・ 新たな借り入れ(ローンやキャッシング)ができなくなる
・ 住宅の賃貸借契約ができない場合がある
・ 携帯電話の機種代の分割払いができない場合がある
・ 銀行などからの借金を任意整理の対象とすると、その金融機関の口座が凍結される
・ 連帯保証人・保証人になれなくなる


クレジットカードの作成・利用ができなくなる



任意整理をすると、借金を完済してから5年程度は、信用情報機関に事故情報として登録されます。

クレジットカードの利用料金を任意整理すると、そのカードは強制解約扱いとなり、すぐに使えなくなります。

貯まっていたポイントは失効し、カードに付帯するETCカードも使えなくなるので注意しましょう。

そのほか、任意整理をした方が本会員となっているクレジットカードの家族カードの利用も停止されます。

クレジットカードを新たに申し込んでも、審査時に信用情報機関への照会が行われるため、新規発行の審査は通りません。

ブラックリスト状態が解除されれば、再びクレジットカードの発行できるようになりますが、それまでの期間は、デビットカードやプリペイドカード、「LINE Pay」「PayPay」などスマホ決済で代用することができます。

また、任意整理をした方の家族が本会員として契約しているクレジットカードについて、家族カードを利用することも考えられます。


新たな借り入れ(ローンやキャッシング)ができなくなる



任意整理により信用情報機関に情報が登録されている間は、クレジットカードと同様、ローンやキャッシングの審査も通らないので、新規ローンの借り入れができなくなります。

具体的には、住宅ローン、車のローン、カードローン、美容整形のローン、ペットローン、消費者金融のキャッシングなど様々な借り入れができなくなります。

新たな借り入れができないため、不便に思われるかもしれませんが、収入と支出のバランスを考え、自分の収入に見合った金銭感覚を身につけていく機会と前向きに捉えることができます。

完済後約5年が過ぎれば信用情報から事故情報が抹消され、ローン審査に通る可能性が出てきます。


住宅の賃貸借契約ができない場合がある



賃貸住宅に住んでいる場合、滞納した家賃を任意整理した場合を除き、現在住んでいる部屋を退去させられることはありません。

同様に、ブラックリストに載っていても引っ越しは可能です。

しかし、新たに賃貸物件を契約する際に、信販会社が賃貸保証会社となっている場合は注意が必要です。

信販会社は信用情報機関に加盟しているため、入居審査でも信用情報を参照するケースが多いといえます。

任意整理によりブラックリストに載っていることが発覚すると、支払能力が低いと判断されて賃貸の入居審査に通らない場合があります。

そのため、任意整理後に住宅の賃貸借契約を結ぶ場合は、信販会社を賃貸保証会社としている物件は避け、保証人可の物件や信用情報機関に加入していない独立系の保証会社を指定している物件を選ぶとよいでしょう。


携帯電話の機種代の分割払いができない場合がある



携帯電話の機種代や通話料金を任意整理した場合を除き、任意整理後も今まで使用していた携帯電話やスマホを使用できます。

しかし、信用情報に事故情報が登録されている間は、新たな携帯電話の機種代の分割払いの審査が通らない可能性があります。

分割払いの申し込みをすると 携帯電話会社は信用情報機関に照会し、任意整理による事故情報が判明するためです。

機種代の分割払いについて審査に通らなかった場合には、一括払いで購入する、中古品を購入する、家族名義で購入してもらうなどの対応を取る必要があるでしょう。


銀行などからの借金を任意整理の対象とすると、その金融機関の口座が凍結される



例えば銀行のカードローンを任意整理の対象とした場合、その銀行の口座(普通預金口座など)は凍結されます。

金融機関が口座凍結を行うのは、預金残高と借金を相殺するためです。

口座凍結は保証会社が銀行に代位弁済することで解除されることが多いですが、それまでの1〜3ヶ月程度は口座が凍結されます。口座が凍結されている間は現金の引き出しや各種支払いの引落ができなくなります。

任意整理を弁護士や司法書士など専門家に依頼した場合、金融機関が受任通知を受け取った時点で口座が凍結されます。

そのため、専門家が受任通知を送付する前に、口座が凍結されても生活に支障がないようにするため、凍結される口座の残高をゼロにしておく、給与や年金の振込先を変更する、公共料金や家賃の引落口座を変更するなどの対応を取ることが一般的です。


連帯保証人・保証人になれなくなる



任意整理によりブラックリストに載っている間は、他人の借金の連帯保証人・保証人になるのが難しくなります。

連帯保証人・保証人の審査の際にも信用情報機関への照会が行われるので、事故情報の存在から審査に通らない可能性が高いためです。

そのため、任意整理をされた方の子供が奨学金を借り入れるなど、家族が連帯保証人を必要とする取引をおこなう際には、別の人に連帯保証人を依頼するか、保証会社を利用するなどの対応が必要になるでしょう。


任意整理のよくある誤解


任意整理をすると、様々な不利益があって、普通の生活が送れなくなってしまうのでは?と考えている人もいますが、誤解もたくさんありますので、任意整理について正しい知識を持つことが必要です。

任意整理についてありがちな誤解は次のようなものであり、誤解するような不利益はありませんので、注意が必要です。

【任意整理の正しい理解】
・ 任意整理しても仕事を辞める必要はない
・ 任意整理が結婚や進学・就職に影響する可能性は低い
・ 任意整理しても、家族に借金の請求が行くことはない
・ 任意整理をしても、年金は通常とおり受給できる
・ 任意整理をしても、戸籍や住民票にその情報が載ることはない


任意整理しても仕事を辞める必要はない



任意整理のために仕事を辞めなければならないことはありません。 

自己破産手続き中は、生命保険会社の外交員など一定の資格制限がありますが、任意整理の場合はこのような資格制限はありません。

任意整理していることが勤務先の会社にバレることも通常はないですし、仮に会社の知るところになっても、任意整理を理由に解雇することは不当解雇として無効になると考えられます。

よって、「任意整理すると会社をクビになる」というようなことはありません。


任意整理が結婚や進学・就職に影響する可能性は低い



任意整理をしても、結婚や進学、就職に悪影響を及ぼす可能性はほとんどありません。

任意整理は自己破産や個人再生と異なり官報に情報が掲載されないので、そもそも第三者にばれる可能性は低いと言えます。

万が一、勤務先に任意整理がばれたとしても、任意整理が理由で解雇するのは不当解雇にあたるのでご安心ください。

ただし、任意整理をした経験を打ち明けないまま結婚し、住宅ローンや自動車ローンを組む際に審査に落ちてしまい任意整理がばれる可能性はあります。

そのため、直近で任意整理をし、ブラックリストに載っている場合は、結婚相手には正直にその事実を伝えておくことが望ましいでしょう。


任意整理しても、家族に借金の請求が行くことはない



任意整理しても、家族や親族が連帯保証人でもない限り、家族や親族に請求が行くことはありません。

近時は、貸金業者が連帯保証人でもない家族に請求するようなことはほぼありませんが、仮にそのような行為があった場合は貸金業法に違反していますので、警告を通知したり、監督官庁に苦情申し入れをすべきでしょう。


任意整理をしても、年金は通常とおり受給できる



任意整理が年金の受給に影響することは全くありません

これは自己破産でも同様であり、自己破産をしても年金の受給権がなくなることはありません。

尚、任意整理は生活保護の受給にも影響しませんが、生活保護費を借金返済に充てることは、「最低限度の生活」を維持するという生活保護の目的に反する利用と判断され、生活保護を打ち切られるおそれがあります。

そのため、生活保護を受給されている方の借金の整理方法としては、任意整理ではなく、自己破産を選択すべきでしょう。

自己破産をしても生活保護の受給に影響はなく、従前とおり受給できます。


任意整理をしても、戸籍や住民票にその情報が載ることはない



任意整理や自己破産の事実が戸籍や住民票に載ることは一切ありません。

そのため、任意整理の事実を周りの人たちに知られることもほとんどありません。

尚、自己破産の場合は官報に氏名住所が掲載されますが、任意整理の場合は官報に掲載されることもありません。


任意整理のメリット・デメリットのまとめ


任意整理や自己破産について、その手続きの内容やメリット・デメリットがわからず、不安に思われている方もいらっしゃると思います。

この記事では、皆様の不安を解消していただくため、任意整理のメリット・デメリットについてまとめてみました。
この記事を読んで、生活をやり直すために任意整理や自己破産の相談に行こうと思われた方がいらっしゃれば、うれしく思います。

任意整理をすることで、利息や遅延損害金を免除できる、返済方法を見直しできるなどのメリットが期待できます。

任意整理にデメリットがないわけではありませんが、その内容を正しく理解して対策を取れば、影響を最小限にすることができます。

借金に悩んでいる生活から抜け出し、その後の人生を再設計するために、お気軽に任意整理に強い弁護士に相談することをお勧めします。

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