自己破産すると官報に掲載されますか?|官報から自己破産がバレる可能性が低い理由を解説

「自己破産をすると官報に名前や住所が載るって本当ですか?」

自己破産をすると、「官報」という国が発行する機関誌に、破産者の氏名や住所といった個人情報が掲載されるというデメリットがあります。

このように聞くと、官報に掲載されることにより、家族や勤務先にも自己破産をしたことがバレるのではないかと心配される方が多くいらっしゃいます。

確かに、官報は誰でも見ることができるため、官報から自己破産をしたことがバレる可能性はゼロではありません。

しかし、実際、官報から自己破産をしたことがバレる可能性は非常に低いといっていいでしょう。

この記事では、官報から自己破産をしたことがバレる可能性が低い理由について、詳しく解説していきます。

また、過去に話題となった「破産者マップ」や「破産者名簿」など、官報に関連してよく質問を受ける点についても解説していますので、官報に載ることが心配な方は是非参考にしてみてください。



官報とは?


「官報」とは、内閣府が発行し、独立行政法人国立印刷局が編集・印刷・インターネット配信している国の機関誌のことをいいます。

官報は、国の発行する新聞のようなもので、明治16年(1883年)に創刊され、現在、行政機関の休日を除き、毎日発行されています。

現在では紙面だけではなく、インターネットでも官報を読めるようになっています(インターネット版官報については後で詳しく解説します)。

官報は、次のような記事で構成されています。

公文|政府や各府省などが公布する文書
法律・政令・条約
内閣官房令/府令・省令/規則/告示
国会事項
人事異動
叙位・叙勲・褒賞
官庁報告
資料
公告|国や各府省、特殊法人、地方公共団体などからの告知
入札公告・落札公示/官庁公告
裁判所公告/特殊法人等
地方公共団体
会社その他(決算報告等)

※参考:官報について(独立行政法人国立印刷局)

自己破産をすると、破産者の氏名や住所といった個人情報が「裁判所公告」という部分に掲載されることになります。


自己破産が官報に掲載される理由



破産法上、破産手続きによる公告は「官報に掲載してする」と定められています(破産法10条1項)。

そのため、官報への掲載を拒否することはできません。

官報に破産者の情報が掲載される主な理由は、お金を貸した人(債権者)に対して、自己破産することを知らせて、債権者が破産手続きに参加する機会を保障するためです。

債権者は、破産手続きに参加することによって配当を受けることができますし、破産者の免責などについても意見を述べることができます。

そこで、債権者が破産手続きに参加する機会を保障するため、破産者の情報を官報に掲載することにしています。


官報に掲載されるタイミング



官報に掲載されるタイミングは以下のとおりです。

【官報掲載のタイミング】
・破産手続開始決定時
・破産手続廃止決定時または終結決定時
・免責許可決定時

これらの各決定の約2週間後に官報に掲載されることになります。

尚、同時廃止と呼ばれる破産手続きでは、官報に掲載される回数は、①破産手続開始決定時(廃止決定時)と②免責許可決定時の2回となります。

破産管財人が選任される管財事件では、官報に掲載される回数は、①破産手続開始決定時、②破産手続廃止決定時または終結決定時、③免責許可決定時の3回となります。

※同時廃止と管財事件の区別については、「自己破産の手続きの流れについて」をご覧ください。


自己破産の官報の掲載例


それでは、官報にはどのような情報が掲載されるのでしょうか。
実際に見てみるほうが分かりやすいと思いますので、以下に官報の掲載例を示します。


個人破産の場合

個人破産の場合の官報の掲載例は次のとおりです。

破産手続開始決定時(同時廃止)

 令和6年(フ)第〇〇号
 大阪市中央区平野町〇丁目〇番〇号
 債務者 ●● ●●
 1決定年月日時 令和6年〇月〇日午後〇時
 2主文 債務者について破産手続を開始する。
本件破産手続を廃止する。
 3理由の要旨 破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足する。
 4免責意見申述期間 令和6年〇月〇日まで

〇〇地方裁判所第〇民事部  

破産者の氏名と住所が掲載されていることが分かります。

破産手続開始決定時(管財事件)

 令和6年(フ)第〇〇号
  大阪市中央区平野町〇丁目〇番〇号
  債務者 ●● ●●
 1決定年月日時 令和6年〇月〇日午後〇時
 2主文 債務者について破産手続を開始する。
 3破産管財人 弁護士 〇〇 〇〇
 4財産状況報告集会・廃止意見聴取・計算報告の期日 令和6年〇月〇日午前〇時〇分
 5免責意見申述期間 令和6年〇月〇日まで

〇〇地方裁判所第〇民事部  

管財事件の場合、破産管財人の氏名も掲載されることになります。

免責許可決定時(同時廃止)

 令和6年(フ)第〇〇号
  大阪市中央区平野町〇丁目〇番〇号
  破産者 ●● ●●
 1決定年月日 令和6年〇月〇日
 2主文 破産者について免責を許可する。

〇〇地方裁判所第〇民事部  

この免責許可決定によって破産者の借金が免除されることになります。

法人破産の場合

会社などの法人の場合の官報の掲載例は次のとおりです。以下では、会社の場合の掲載例を記載します。

破産手続開始決定時

 令和6年(フ)第〇〇号
  大阪市中央区平野町〇丁目〇番〇号
  債務者 ●●●●株式会社
  代表者代表取締役 ●● ●●
 1決定年月日時 令和6年〇月〇日午後〇時
 2主文 債務者について破産手続を開始する。
 3破産管財人 弁護士 〇〇 〇〇
 4破産債権の届出期間 令和6年〇月〇日まで
 5財産状況報告集会・一般調査・廃止意見聴取・計算報告の期日 令和6年〇月〇日午前〇時〇分

〇〇地方裁判所第〇民事部  

会社破産の場合、「会社の所在地」、「会社名」、「代表者の氏名」が掲載されることになります。

なお、会社破産の場合、大阪地方裁判所では必ず破産管財人が選任される運用となっています。

自己破産を官報で閲覧する方法


官報を閲覧する主な方法としては、以下の4つがあります。

【官報を閲覧する方法】
・官報販売所で官報を購入する
・図書館で官報を閲覧する
・インターネット版官報を利用する
・官報情報検索サービスを利用する


官報販売所で官報を購入する

官報は、全国の都道府県庁所在地にある官報販売所で購入することができます。

また、全国官報販売協同組合のホームページの政府刊行物コーナーにおいて、官報のバックナンバーの購入や官報の定期購読を申し込むことができます。

一般の書店では購入することができません。

なお、官報は発行される日の午前8時30分、国立印刷局本局と官報販売所の掲示板に「本日の官報」として掲示されます。


図書館で官報を閲覧する

官報は国立国会図書館や県立・市立図書館、大学図書館で閲覧することができます。

もっとも、地方の図書館では、発行から数年間など特定の期間の官報しか所蔵されていないところがほとんどであり、これまで発行されたすべての官報が閲覧できるわけではありません。


インターネット版官報を利用する

インターネット版官報を利用すれば、登録などの煩わしい手続きをすることなく、誰でも簡単に直近90日分の官報を無料で閲覧することが可能です。

※参考:インターネット版官報(独立行政法人 国立印刷局)

官報をインターネットで見ることができるのであれば、GoogleやYahooなどの検索エンジンで名前検索をすれば、破産者の情報が表示されるのではないかと不安に思う方もいらっしゃると思います。

しかし、インターネット版官報は、後で紹介する「破産者マップ」事件の影響を受けて、検索エンジンから名前検索しても検索にヒットしないように、PDF画像化されて公開されています。

そのため、インターネット検索で名前検索をしても破産者の情報が表示されるということはありませんので、ご安心ください。


官報情報検索サービスを利用する

官報情報検索サービスとは、昭和22年5月3日分から直近までの官報に掲載された内容を、日付やキーワードを指定して検索・閲覧できる国立印刷局が提供している有料会員サービスです。

官報情報検索サービスを利用すれば、自己破産をしたことが簡単にばれるのではないかと心配になるかもしれません。

しかし、誰でも無料で気軽に利用できるインターネット版官報と異なり、官報情報検索サービスを利用するためには最寄りの官報販売所で申し込み手続きが必要です。

そのため、一般の方が有料会員になっていることはほとんどありません。

また、官報情報検索サービスは全国の図書館で無料利用することもできますが、利用には図書館窓口で所定の手続きが必要です。

このような利用のハードルの高さから、官報情報検索サービスによっても、家族や勤務先に自己破産したことがバレる可能性は低いといえるでしょう。


官報から自己破産がバレる可能性が低い理由


以上では、官報の閲覧方法を解説しました。

官報は、一般の方が気軽に閲覧するようなものではないことがお分かりいただけたと思います。

とはいっても、官報は見ようと思えば誰でも見ることができるものであり、インターネット版官報は、スマートフォンからも無料で気軽に閲覧できるため、自己破産をしたことが家族や勤務先にバレる可能性はゼロとはいえません。

しかし、やはり官報から自己破産がバレる可能性はほとんどなく、以下ではその理由を解説していきます。


官報を読む人は限られている



官報を常日頃から読んでいる一般の方はほとんどいないといっても過言ではありありません。大部分の方は官報の存在や閲覧方法すらご存じないでしょう。

実際のところ、常日頃から官報を確認している人は金融機関など一部の職業の方に限られます。

また、職務上、官報の破産者情報を毎日チェックする人であっても、官報の情報をみだりに第三者に公開することは法律で禁止されています。

また、官報の破産者情報をインターネットで拡散することは、個人情報保護法違反や刑法上の名誉棄損罪に該当します。

刑法や個人情報保護法に違反してまで、破産者の情報を他人に公開する可能性は非常に低いといえるでしょう。


官報の情報量は膨大



官報に掲載されている情報は破産者の情報だけではありません。

官報には、法律・政令・条約や破産以外の裁判所公告や会社に関する公告など、膨大な情報が掲載されています。

官報は日によっては100頁を超えることもあります。

そのような膨大な情報が掲載されている官報を見て、偶然、知り合いの名前を発見する可能性は非常に低いといえます。


インターネットで破産者情報を検索することはできない



上述したように、インターネット版官報は検索にヒットしないようにPDF画像化されて公開されています。

そのため、GoogleやYahooなどの検索エンジンで名前検索しても破産者の情報は表示されません。

また、繰り返しになりますが、破産者の情報をインターネットで拡散することは、個人情報保護法違反や刑法上の名誉棄損罪に該当します。


破産者マップとは?


官報に掲載された破産者の情報がインターネット上に公開される可能性は残念ながらゼロではありません。

実際、過去に破産者の情報がインターネット上で公開された事件がありました。

2019年3月、官報に掲載された破産者の情報を二次利用した「破産者マップ」という名称のウェブサイトが公開されました。

破産者マップとは、官報に掲載された破産者の住所や氏名をデータベース化し、Googleマップに関連付け設定を行うことで、破産者の情報をGoogleマップ上にピンを置いて可視化したサイトのことをいいます。

Googleマップ上に立てられた赤いピンをクリックすると破産者の氏名や住所が表示される仕組みとなっていました。


破産者マップは現在閉鎖されている



破産者マップが破産者の名誉やプライバシーを侵害するものであること、破産者マップを利用した詐欺被害が発生したことを重くみた個人情報保護委員会からの行政指導もあり、破産者マップは現在閉鎖されています。

また、「自己破産・特別清算・再生データベース」や「モンスターマップ」など後継サイトについても、個人情報保護委員会からの行政指導により、現在閉鎖されています。

現在も破産者マップの類似サイトが存在しますが、官報に掲載された破産者の情報を二次利用し、削除要請にビットコインを要求するなどの違法で反社会的なサイトと言えます。

自己破産をした方がインターネットで自分の名前を検索しても、このような違法サイトがヒットすることはありませんので、ご安心ください。


破産者名簿とは?


「破産者名簿」とは、自治体が作成・管理している破産者の名簿のことをいいます。

官報に掲載された破産者の情報は、破産者の本籍地を管轄する役所にある破産者名簿に記載されることがあります。

このように聞くと、破産者名簿に載ることで自己破産をしたことがバレるのではないかと不安に思うかもしれません。

しかし、以下の理由から、破産者名簿については特に心配する必要はありません。


破産者名簿は一般非公開



破産者名簿は、自治体が「破産者ではないことを証明する身分証明書」を発行する際、証明書の請求者本人が破産者であるかどうかを確認するために作成・利用されている機密文書です。

役所の中でも閲覧できる人は限られており、破産者名簿が一般に公開されることはありません。

また、「破産者ではないことを証明する身分証明書」の発行を請求できるのは、本人またはその代理人などに限られています。

そのため、破産者名簿から自己破産をしたことがバレることは通常あり得ません。


ほとんどの破産者は破産者名簿に載らない



以前は自己破産を申し立てると、破産手続開始決定日から免責許可決定が確定するまでの間、破産者名簿に記載されることになっていました。

しかし、平成16年の破産法改正に伴い、現在では破産者名簿に記載されるのは、免責を受けることができなかった破産者に限定されています(平成16年11月30日民三第113号最高裁民事局長通達)。

なお、2020年の日弁連の調査結果によると、自己破産の免責申立てをした人1240人の内、免責不許可となった人の割合は0%でした(2000年調査以降、「免責不許可」の割合は1%未満で推移しています。)。

そのため、現在では破産者名簿に記載されることはほとんどありません。


自己破産と官報のまとめ


自己破産をすると、官報に氏名や住所といった個人情報が掲載されてしまうというデメリットがあります。

官報は誰でも見ることができるものではありますが、官報を日常から読んでいる人はほとんどいません。

加えて、官報の情報量は膨大であることから、家族や勤務先などの周囲の人がたまたま官報を読んであなたの名前を見つけるという可能性は非常に低いです。

さらに、破産者マップ事件の後、名前をGoogleやYahooなどの検索エンジンで検索しただけでは破産者の情報が表示されないような対策が行われたため、官報から自己破産したことがバレる可能性もほとんどありません。

官報に掲載されることは確かにデメリットではありますが、自己破産には、このようなデメリットをはるかに上回る、全ての借金が免除されるというメリットがあります。

官報に掲載されることにより自己破産がバレることはほぼありませんので、借金問題で悩んでいる方は、新たな社会生活をスタートさせ、人生をやり直すために自己破産を検討されるとよいと思います。

そのため、借金問題を放置せず、早めに自己破産に強い弁護士に相談することをおすすめします。

(記事公開日 2024.4.8)

この記事の監修者
弁護士 黒田 良平

弁護士 黒田 良平(大阪弁護士会所属)
大阪・北浜の平野町綜合法律事務所所属
債務整理、自己破産、個人再生、過払い金請求などの借金問題の解決に日々取り組んでいる。
親切かつ丁寧にご相談に耳を傾ける姿勢が好評を得ている。借金問題のご相談は無料ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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